北京大学創業訓練営 大連基地

インタビュー&構成:徳橋功
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Entrepreneur’s Training Camp, Peking University
インキュベーションセンター

 

ある日、一通のメッセージが届きました。

「北京大学のOBOGが起業家向けにつくったインキュベーションセンターが、視察を兼ねて7月に来日するとのことです。もしご興味あればお引き合わせします!」

この情報を下さったのは、昨年(2015年)5月に私たちが公開インタビューさせていただいた、当時大学生だった起業家の城宝薫さん。彼女が今年4月、日本のベンチャー起業家の代表として中国・大連で講演したことをきっかけに出会ったのが、今回のインタビュー相手である「北京大学創業訓練営 大連基地」でした。

昨年9月に大連市政府と北京大学の提携により立ち上げられた、比較的新しいインキュベーションセンターである大連基地から、5名のスタッフが来日し、都内にて海外起業や海外展開を計画する日本の若者たちと交流や意見交換を行いました。一方で私たちMy Eyes Tokyoは、過去に日本のスタートアップ創業者にインタビューさせていただいた背景もあり、大連基地の総監督である伍彤さんと、大連基地の顧問を務めている起業家の劉世冰さんに「日本のスタートアップの魅力とコラボレーション」についてお話を伺いました。

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左:伍彤さん 右:劉世冰さん

*インタビュー@株式会社テーブルクロス(新宿区)
*日本語通訳:劉世冰さん
*記事制作協力:茅森由佳さん

 

日本は“民間がハイテクを持つ国”

伍さん:北京大学は中国各地に「基地」と呼ばれるインキュベーションセンターを持っています。北京、天津、珠海、青島、蘇州、大連、揚州の全基地で約2000社を支援し、うち新三板市場(中国の店頭市場)に上場したのは23社にのぼります。

基地それぞれに特徴があり、それらはもともと中国国内のスタートアップ企業を支援することを目的に設立されましたが、中でも昨年9月設立の大連基地の位置付けは“国際”、つまり韓国や日本など北東アジア諸国のベンチャー支援です。今後はロシアの新興企業にも着目していく考えでおります。

私たちが日本に注目する理由は、中国が大手企業や国が技術を持っているのに対し、日本が「中小企業など民間が先端技術を持っている」国だからです。また城宝さんとの出会いを機に日本のスタートアップ企業と交流し 、彼らがすごく頑張っている一方で悩みも多く抱えていることも感じました。悩みが多ければ多いほど、私たちが貢献させていただけることも多いのではないか – これらの思いが組み合わさり、日本のスタートアップ支援に乗り出しました。

劉さん:中国はものすごく発展していますが、経済の発展を重視するあまり、一番大切な本質を見失ってしまったようです。ここ数年、中国の企業はそれに気づき始めて製品の品質に着目し、絶えず精進を求め、質を上げることに全力を注いでおります。経済の発展を図ると同時に伝統を受け継ぎ、品質を大切にして、製品に思いを込めるようになりました。

日本は中国の古代文化に深く影響を受け、古代の人々の素晴らしい信念を受け継ぎました。匠の精神は日本のものづくりに顕著に表れていると思いませんか?製品の品質だけでなく、実用性や人間工学の面でも充分発揮されています。この点において中国と日本は共通していますので、それを生かしてお互いに協力し、事業を展開したいと思います。

 

“アイデアだけ”でもOK!

劉さん:私が想像するに、日本のスタートアップは資金に困っているでしょう。そしてマーケットが足りない。これら2点については私たちがご提供できます。そして私自身、自分の事業とは別に、日本の若い人たちと交流して彼らの声を聞き、技術面や資金面からサポートすることで一緒に事業構築に参加できたら嬉しいです。

伍さん:大連基地が支援する中国のベンチャーと、日本のベンチャーとの交流を促進させ、また私たちも日本の企業文化を学ぶ。そして北京大学が日本の大学と共同でインキュベーションセンターを立ち上げ、日中それぞれの企業がお互いの国に進出する際、オフィスや資金、アイデア面での支援を行う。そのようなことを行っていきたいと思っています。

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日本の若い起業家たちと活発に議論
東京都新宿区 2016年7月

伍さん:大連基地がこれまで投資してきた産業分野は、オンライン教育、AI(人工知能)、環境、省エネ、医療と多岐に渡ります。 私たちが支援させていただく企業の規模は、上場前の企業であれば全く問いません。まだ会社を立ち上げる前の、アイデア段階でもOKです。私たちの投資基準はビジネスプラン、オリジナリティ、技術力です。特に技術者だと経営力が不足しているケースが多々あるので、その部分は私たちがカバーします。そうすることで、技術者は開発に集中できます。

 

職人も若者も全力サポート

劉さん:先ほども申したように、私は職人が大好きです。だから日本の中小規模の製造業に興味があります。そのような企業を支援することで、中国で素晴らしいものを作っていただく – それが私のひとつの“夢”でもあります。

伍さん:ぜひ日本の人たちに、大連基地で創業してほしい。そのためにも、私たちは日本の皆さんと交流し、様々なアイデアに耳を傾けたいと思っています。

 

また中国は、高齢者医療が充実していません。一方で日本は、特に介護サービスが充実しています。その仕組みをぜひ中国でも進めていただきたい。私たちが全面的にサポートさせていただきます。

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写真提供:城宝薫さん

 

関連リンク

北京大学創業訓練営:www.pkucy.org/(中国語)

 

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城宝薫さん:www.myeyestokyo.jp/50031

 

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