My Eyes 米大統領選2016 ㉛ 選挙人制度〜アメリカvs日本@民主主義〜

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コラムニスト/翻訳家  

 

2016年アメリカ大統領選挙の結果を受けて、選挙人制度が再び話題を集めています。選挙人獲得数においてドナルド・J・トランプ氏が勝利した一方で、一般投票においてヒラリー・R・クリントン氏の得票数がトランプ氏のそれを上回っていた(これに対しても異論が出ていますが)ことが背景にあります [1][2][3][4][5]。

元来選挙人制度は、少数の地域に票が偏ることを防ぐ目的で生まれました。もし一般投票のみを適用したら、大統領はカリフォルニアやニューヨーク、テキサスの住民によって選ばれ、その他の州はアメリカ政府の三権のうちの行政部門から排除されてしまいます。一方で選挙人制度はカルフォルニアのような人口の多い州に対して不公平であるように思われます。

従って、3910万人という人口を誇るカリフォルニアは55人の選挙人を有し、大統領選勝利に必要な選挙人数の20%以上を占めています。それ故に1992年以降、カリフォルニアでは民主党がいずれの大統領選においても優勢を維持してきました。過去7回の大統領選のうち、民主党候補者は4度勝利しています。そして今回の大統領選では、反不公正貿易取引や、貧しい地区で暮らすアフリカ系アメリカ人への救済に対するトランプ氏の発言が、従来の共和党候補者とは一線を画していたため、民主党支持者からも票を獲得したのではないかと思われます。

選挙人は各州の住民によって選ばれます。選挙人は大統領選において候補者が所属する党を代表するため、例えばトランプ氏がペンシルベニア州で勝利した場合、同州の選挙人はトランプ氏と同じ共和党所属です。トランプ氏は30州で選挙人を獲得し、メイン州でも選挙人1人を獲得しました。対してクリントン氏は20州とワシントンD.Cで選挙人を獲得したのみでした。

無党派層にとっては、一般投票で勝利しながらなぜ選挙で敗北を喫するのか不思議に思われる人も多いでしょう。しかし国連のシステムと比べたら、それほど不思議なことではないと思います。国連では、各加盟国が国連決議可決に対し等しく1票を持っています。だから例えば2億人の人口を有するインドネシアも、人口わずか74万9000人の内陸国であるブータンも、与えられる力は同じです。

一方で野球のワールドシリーズでは、優勝するためには全7試合のうち4試合勝たなければいけません。1回の走塁で勝つこともあれば、他の試合では20回、30回、はたまた1000回の走塁により点を取られることもあります。野球にそのような特徴があるにもかかわらず、ワールドシリーズでは優勝チームはわずか4回の試合で決まります。選挙人を多く獲得した候補者が大統領になるという、アメリカの大統領選そのものです。

アメリカ人の目には、日本の民主主義制度は異質なものに映るでしょう。日本はヨーロッパの議会制民主主義を採用しており、人は多くの政党の中から候補者を選ぶことができるため、権力はより分散されます。日本の自民党は民進党だけと選挙戦を争うのではなく、日本共産党や社民党などとも戦わなくてはなりません。さらに、自民党は権力を維持するために公明党と連立する必要がありました。それは公明党の支持母体が、多くの信者を有する創価学会という宗教団体であるためです。でも日本では、人々は日常生活においてそれほど宗教を前面には出しません。つまり少数派が多数派を代表するようになったり、多数派に揺れ動くようなことが、日本では起こり得るということです。あたかも、これまで民主党寄りと思われていたウィスコンシンやペンシルバニアが、2016年の大統領選においてトランプ氏勝利に影響を及ぼした構図に似ています [6]。

 

[1] www.tmz.com/2016/11/08/dead-people-vote-los-angeles/

[2] www.theacru.org/acru-warns-more-texas-counties/

[3] twitter.com/TrueTheVote

[4] www.washingtontimes.com/news/2016/nov/13/lax-election-enforcement-must-go/

[5] pjmedia.com/jchristianadams/2016/11/07/leaked-documents-reveal-expansive-soros-funding-to-manipulate-federal-elections/

[6] en.wikipedia.org/wiki/Komeito

 

ダニエル・ペンソ

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米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
*ダニエル氏の詳細は以下のページをご覧下さい。 
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*日本語訳:徳橋 功  

*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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