アメリカ政府機関 閉鎖

ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家

 

人生とは、何と象徴的なことでしょう・・・今この瞬間、トランプ大統領就任1周年の日、アメリカ政府は閉鎖状態になりました。多くのアメリカ市民にとって頭痛の種であった、アメリカに流入する不法移民の問題を解決すると約束して勝利を獲得し、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任してちょうど1年という日に起きたことでした。

この閉鎖は、「幼少年期に米国に入国した移民の延期措置」(Deferred Action for Childhood Arrivals, DACA)の解決方法をめぐり、共和党と民主党の間で意見の食い違いが生じたことに起因しています。トランプ氏は、オバマ前大統領が発令したDACA関連の大統領令を無効にしました。彼は「議会はDACAを合法にするかしないか票決すべきだ」と言いました。

不法移民問題は、トランプ氏が大統領に立候補したと同時に発生したものではありません。少なくとも過去100年もの間、アメリカを悩ませてきた問題です。しかし特にこの問題が浮き彫りになったのは、第二次世界大戦の頃のことでした。現在のこの危機への焦点はDACAという、不法移民によりアメリカ・メキシコ国境を越えて連れて来られた子供たちに向けた「国外退去を延期し、就労許可を与える」[1] ためのオバマ政権による政治戦略です。

明らかにこの戦略は、アメリカ政府が策定した合法移民政策をないがしろにした人々を支援するものであり、様々なハードルを越えて永住権や市民権を獲得した合法移民たちにとって打撃となるものであるが故に、議論の的となっていました。

新たにアメリカにやって来た移民たちのうち、これまで圧倒的多数が民主党を支持してきました。だから不法移民がアメリカ市民になるための道を与えることや、障壁を少なくしていくことが、党に利することとなりました。しかしビジネス志向の利に聡い共和党員たちも、ラテンアメリカ諸国のみならず、インドや中国などからの安価な労働力を制限する厳格な移民政策の施行には消極的でした。後者の国々からの移民の多くは、労働ビザを手にしてシリコンバレーのIT関連企業などに就職しました。

大多数のアメリカ人は、仮に不法移民に反対だったとしても、DACAの対象になった人たちを追い出したくは無いでしょう。しかし同時に、不法移民に市民権を与えることへの支持も躊躇すると思います。ギャング・オブ・エイト移民法 [2](*訳者注:不法移民への合法的地位付与と国境管理強化の両立を図る「国境安全、経済機会、および移民近代化法案(Border Security, Economic Opportunity, and Immigration Modernization Act of 2013)」のこと。共和党マケイン上院議員を筆頭に超党派の議員8名が提出したことから、こう呼ばれるようになった)が2013年に通過しそうになったものの、結局は成立しませんでした。

今回の政府閉鎖は、アメリカの政治史で初めて起きたことではありません。レーガン政権で8回、クリントン政権で2回、そして直近ではオバマ政権時代の2013年に1回ありました [3]。

 

[1] en.wikipedia.org/wiki/Deferred_Action_for_Childhood_Arrivals#Reaction_2

[1 *日本語] ja.wikipedia.org/wiki/若年移民に対する国外強制退去の延期措置

[2] en.wikipedia.org/wiki/Gang_of_Eight_(immigration)

[3] en.wikipedia.org/wiki/Government_shutdowns_in_the_United_States#List_of_federal_shutdowns

[3 *日本語] ja.wikipedia.org/wiki/政府閉鎖

 

ダニエル・ペンソ

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米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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