アビドヴァ・ファリザさん(ウズベキスタン)

インタビュー:徳橋功 エマ・ウィスロー
構成:エマ・ウィスロー
日本語訳・構成:徳橋功
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Fariza Abidova
起業家

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私は海すらも見たことがありませんでした。

 

 

 

 

昨年11月頃、以前私たちがインタビューしたドイツ人女性のホップ・ヴェレナさんより、あるウズベキスタン人女性をご紹介されました。現在2つの企業を経営する起業家、アビドヴァ・ファリザさんです。シルクロードにある街で生まれた一人の少女が、いかにして日本にたどり着き、自らのアイデアで事業を立ち上げるまでになったかを、ファリザさんの専門領域である異文化コミュニケーションのお話も交えて伺いました。今回は、これまでのMET記事とは少し違う構成でお送りします。

*インタビュー@新宿

英語版はこちらから!

 

日本に魅せられたオアシスの少女

ウズベキスタンの古都・サマルカンドで生まれたファリザさんは、日本のメディアや日本製品に囲まれて育ちました。彼女の故郷は外国人旅行客があちこちにいたそうで、幼心にもファリザさんは彼らが話す言葉や、彼らの文化に興味を持ちました。それがきっかけとなり、彼女は母国語であるタジク語やロシア語、ウズベク語、トルコ語、ペルシャ語に加え、英語と日本語も学び始めました。

「大人になるにつれて、私は障子やふすま、着物といった日本の生活様式に惹かれるようになりました。私にとっては全く未知のものだったのです。私は日本にずっと興味を持っていましたが、大きくなるまで日本について学ぶ機会はありませんでした」

日本について深く探求するチャンスは、ファリザさんが大学生の頃にやってきました。英語言語学を専攻する学生は第2言語を履修することができ、彼女は長年積もりに積もった好奇心から、日本語を選びました。その理由の一つとして、漢字への憧れがありました。一文字だけで言葉や思想を表す漢字は、彼女にとって言語学的に全く未知のものだったからです。

日本語を学ぶ中で、ファリザさんは文部科学省主催の奨学金プログラムを見つけて応募。日本でさらに研究を深めるチャンスがやってきました。

 

初めての外国

「日本は完全に未知の世界でした。だって私は、海を見ることさえも初めてだったのですから。私の故郷はとても小さく、そこに住んでいた当時は外国に行ったことがありませんでした。だから超高層ビルや海、あらゆる人たちを目にしてとっても興奮しました」

 

独立した女性として

日本での生活を経験するうち、ファリザさんは自身の手でキャリアを築き、一人の独立した人間として人生を歩みたいと思うようになりました。そのころ困難の真っ只中にいた彼女でしたが、自立した人生を歩み、夢を実現するという希望に背中を押されました。

独立独歩の人生の次に来るのは何か?そんなことを考えていたファリザさんに、ある友人が言いました。「大学での専攻だった異文化教育を生かして事業を立ち上げたらどうだろう?」。彼女にとって、そのアイデアは全く想定外のことでした。ファリザさんは起業に向かって動き始め、2010年にSOPHYS株式会社を創業。あらゆる分野の日本企業に向けた、グローバル人材育成のコンサルティング事業を開始しました。

 

新たな船出

歩みはゆっくりとしたものでした。最も手間を要したのが人脈構築と自分の名前を売り込むこと。この2つを実現するため、ファリザさんは企業のグローバル化に関するセミナーを無料で行うことにしたのです。その内容は、彼女の日本での留学先だった神戸大学で行ったケーススタディに基づくものでした。神戸で学んだ教授たちを通じて、ある大企業がファリザさんの顧客となり、それをきっかけに彼女の業績は成長を加速。さらに事業は拡大していきました。

「この業界で頭ひとつ抜きん出るためには、私独自のアプローチ方法を編み出す必要があります。だから私は自分のセミナー内容を考える間、他のセミナーを参考にすることはせず、私のアイデアだけを反映させていきました。思えばこれが、他社さんが提供するコンサルティングやセミナーと差別化できた一番の要因ですね」

 

日本企業の多様性

ファリザさん曰く、日本の大企業のグローバル化はかなり進んでおり、次なる課題は海外事業を受注して人材プールを大きくすること。日本企業には技術があり、海外進出にも意欲的である一方、海外で営業を指揮したり顧客を獲得することができる社員がほとんどいないそうです。理想と現実のギャップを埋める努力をするのは良いものの「グローバル人材」の定義付けに迷う企業が多いのも事実。海外での市場拡大のために、営業戦略を練ることのできる人や、海外事業に際して必要なスキルを持っている人、新たな環境に適応できる人の迅速な確保が求められています。

ところで日本企業の外国人従業員は、日本人従業員や日本人の上司と仕事をする上で何をすべきでしょうか?または何を学ぶべきでしょうか?一方で日本人従業員は外国人従業員と仕事をする上で何を学んでおくべきでしょうか?

「日本人と外国人の従業員の間で私がよく見る一番大きな問題は、お互いの意思疎通がきちんとなされていないことです。お互いが言語的に英語でコミュニケーションができても、それ以外に文化的な規範や自分自身を伝えるための方法など、考慮に入れるべきことはたくさんあるのです」

ファリザさんは、日本人と外国人の双方がお互いに自らの文化を共有する必要がある一方、自らの文化的アイデンティティを保持することを忘れてはならないと言います。自分自身であり続けることと、他者を理解しようと積極的に努力することにより、誤解という落とし穴を回避できるものと見ています。従業員と企業はそれぞれがお互いを尊重しながら、アイデンティティと独自性を保つことが必要になってきます。


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写真提供:アビドヴァ・ファリザさん

 

日本企業が海外で成功するために

ファリザさんは言います。

「海外のビジネスマンと取引をする時に大変重要になるのは、あなた個人の信用です。日本企業が往々にして持つ謙虚さは海外では曲解され、本当の意味には受け取られない可能性があります」

日本では、個人の信用はその人が勤務する企業が日本国内でどれだけ重要かで決まります。つまり個人と個人の取引というよりは、ブランドとブランドの間のやり取りと言った方が良いでしょう。しかし外国企業が一番注目するのは、会社で働く個人そのものの信用なのです。

 

海外進出をオンラインで支援

2017年2月、ファリザさんは新たな事業を立ち上げます。それは海外での市場拡大を検討している企業を支援するためのソリューションとなるものです。

すでに彼女は「トラステッド・コーポレーション」という会員制オンラインコミュニティを立ち上げました。登録には事前審査が必要な越境BtoBのプラットフォームが、まずは各分野の中小企業に向けて公開されることになりました。

このプラットフォームを通じて、間に誰も入ることなくビジネスパートナーを見つけることができ、またいずれの企業の意思決定者にも直接コンタクトを取ることが可能です。利用者は見込み客の獲得や、海外からの興味深い共同事業の提案を受けることが可能になります。

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写真提供:アビドヴァ・ファリザさん

 

私たちMy Eyes Tokyoは、ファリザさんの次なる一手を非常にワクワクしながら見ています。それは彼女が東京にたどり着くまでの旅路や事業での成功に至る物語が、私たちのやる気を呼び起こすからです。ファリザさんが陣頭指揮を執る2つの事業は、これからもきっと成長・拡大を続けていくことでしょう。

 

ファリザさん関連リンク

SOPHYS株式会社:sophys-inc.com
トラステッド・コーポレーション:www.trusted-inc.com/

 

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