My Eyes 米大統領選2016 ⑩ トランプ現象とスーパー・チューズデー

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コラムニスト/翻訳家  

 

トランプはなぜ人気?

ドナルド・トランプ氏がメディアに登場してから約30年。そして今、物議を醸す存在として、はたまた人によっては好戦的に映る人物として、再び彼は大統領選のお祭り騒ぎの中でスポットライトを浴びています。
共和党から出馬した大統領候補の一人、テッド・クルーズ氏に惜敗したアイオワ州党員集会の後、トランプ氏はニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネバダ州の3州で連続勝利しました。

評論家たちは、トランプ氏が昨年6月に大統領選出馬を宣言した後「彼はやがて脱落するだろう」と考えていました。

トランプ氏がメキシコに対して批判の矢を向け「メキシコはアメリカに犯罪者や性犯罪者、最低所得者層を送り込んでいる」と放言。また彼は貿易不均衡に関して中国や日本、、ベトナムを批判しました。しかも「アメリカ以外のすべての国が、貿易においてアメリカよりも優位に立っている」とまで言いました。

共和党は基本的に自由貿易を支持する立場。それならなぜ、このような彼の言葉が党員集会の投票者を魅了したのでしょうか?

現在のアメリカの失業率は、米政府は4.9%と喧伝していますが、労働力として社会に参加していない人々は、実際には9300万人にも上ります(労働参加率は62.7%にすぎません)[1]。このような事実に加え、年収3万ドル(約300万円)以上の労働者は、全労働者数の半分以下だという調査結果もあり、また深刻な経済状況も浮き彫りになっています[2]。

トランプ氏は、中国など海外諸国との貿易不均衡を逆転させると主張しました。彼は中国元の通貨操作に真っ向から立ち向かおうとしています。

トランプ氏を勢いづけるもう一つの要因として挙げられるのが「ポリティカル・コレクトネス」との闘いです。彼はメキシコに対して暴言を放ったことへの一切の謝罪を拒否しました。実際に彼は「私はメキシコ人やメキシコを愛している」と言うことで批判をかわそうとしましたが、彼はそれだけでなく「メキシコの首脳の方が私たちのトップよりもずる賢い」などとも発言しました。

またトランプ氏は同時多発テロについてブッシュファミリーを批判しました。これが同じく共和党候補のジェブ・ブッシュ氏への打撃となり、ひいては反戦思想を持つ共和党支持者や民主党支持者、無党派層をも取り込むことになりました。

 

スーパー・チューズデー

果たしてトランプ氏は、候補者指名を受けるのでしょうか?彼のライバルたちはすっかり萎縮し、彼の支持者は3州での連続勝利に歓喜しています。しかし正念場である「スーパー・チューズデー」は目前です。

スーパー・チューズデーで注目されるのは、テキサス州での動きです。ここはトランプ氏の最大のライバルであるテッド・クルーズ氏が現職の上院議員を務める場所。現段階では、調査によればクルーズ氏が1%だけリードしているとのことです。テキサス以外の11の州でも共和党の党員集会が行われるため、大統領選レースに残っているテッド・クルーズ氏、マルコ・ルビオ氏、ベン・カーソン氏、ジョン・ケーシック氏といった他の4人の候補者にとっても、代議員の獲得数は死活問題につながります。

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(左)ドナルド・トランプ氏(右)テッド・クルーズ氏 *Photos from Wikipedia

 

2016年2月25日現在、トランプ氏は67名、クルーズ氏は11名の代議員を獲得しています。

 

*参照記事
[1]data.bls.gov/timeseries/LNS11300000
[2]dailycaller.com/2015/10/25/1-in-2-working-americans-make-less-than-30000-a-year/

 

ダニエル・ペンソ

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米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、。日本への旅行時には落語を楽しむ。
*ダニエル氏の詳細は以下のページをご覧下さい。 
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*日本語訳:徳橋 功  

*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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