第9回 国際漫画賞授賞式
皆さんは“漫画のノーベル賞”をご存知でしょうか?
「漫画の本家本元である日本から、若き漫画の旗手たちに“漫画のノーベル賞”のようなものを贈りたい」という麻生太郎外務大臣(当時)の思いから2007年に創設された賞、それが「国際漫画賞」です。
今回で9回目を迎えた当賞は、46カ国・地域から259作品の応募がありました。優秀作品として14作品を選出、さらに優秀賞として選ばれた3作品、最優秀賞1作品を表彰する授賞式が、2月26日に外務省飯倉公館で開催されました。
実行委員長・岸田文雄外務大臣の代理を務められた山田美樹外務政務官による挨拶で、式は幕を開けました。
「漫画は今や様々な世界観を表現するツールとして国、地域、文化、世代の別なくあらゆる人々に愛されています。私たちは多様な漫画の価値を世界の人々にもっと知ってほしいと考えており、歴代の受賞者の方々には“漫画文化の伝道師”として、日本の友人として、世界各地で活躍していただいています」
その後、受賞者の発表へ。
優秀賞
「無名歌Vol.1」
搖滾貓氏(台湾)
「Holy Dragon Imperator」
作者Nguyen Thanh Phong氏 原作者 Nguyen Khanh Duong氏(ベトナム)
「怕魚的男人(魚を恐れる男)」
李隆杰氏(台湾)
最優秀賞
「The Divine(神聖なるもの)」
作者Asaf Hanuka氏 Tomer Hanuka氏 原作者Boaz Lavie氏
審査委員長の漫画家・里中満智子氏は言いました。
「私が感じたのは“漫画は国境を超える”ということ。地球上には様々な国や地域があり、それぞれが抱えている歴史や価値観がありますが、漫画に表される物語性、キャラクターの気持ちは万国共通に人の胸を打ちます。それは民族に変わりなく、人が悲しいと思う時は、どこの地域の人たちも悲しいと思うし、どんなことが幸せかと思うことも共通です。一人の作者として作品を描く時、どの地域にも共通する感動が生まれるのだと思いました」
授賞式の後は懇親会。山田外務政務官による乾杯の後、各受賞者が率直な気持ちを語りました。
Asaf Hanuka氏 Boaz Lavie氏(イスラエル)
「受賞作のストーリーは1990年代後半のミャンマーで、12歳にして少年ゲリラグループを率いて地方軍と戦った双子の兄弟の実話を参考にしました。本作品の創作を通じて、私たちは少年兵の問題に対する関心が広がること、そして自分たちの生活や自由のために戦っている年端のいかない子供たちの悲惨な状況が無くなることを祈っています」
搖滾貓氏(台湾)
「私が漫画で描いているのは、1980年代生まれの青年が現実に打ち負かされつつも、多くの人により救われるというものです。そして私は、まさに漫画に救われた80年代生まれの青年です。この世界に漫画があることに感謝します」
Nguyen Thanh Phong氏(ベトナム)
「私の作品を通じベトナムの文化や歴史を紹介する機会を与えてくださり、本当にありがとうございます。漫画それ自身が独自の言語であり、世界各国の距離を縮める役割を果たす文化の架け橋であることを、いつも信じています」
李隆杰氏(台湾)
「国際漫画賞での評価を得て、文化交流の名の下に交流の架け橋の一部となれたことは、間違いなく私をより一層頑張らせてくれる原動力になると思います」
なお受賞者は授賞式への出席のほか,出版社やアニメーションスタジオ、漫画関係ミュージアムなどを訪問し、帰国の途につきました。
関連リンク
国際漫画賞
日本語: www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/koryu/pop/manga/
英語: www.mofa.go.jp/press/release/press4e_001040.html
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