My Eyes 米大統領選2016 ㉘ 反感と偏狭

ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家  

 

多くの人々が予想し得なかった、ドナルド・トランプ氏のヒラリー・クリントン氏への勝利から約10日が過ぎ、「ドナルド・トランプ大統領」は中に波紋を広げています。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は2017年1月20日にトランプ氏が大統領に正式に就任するまでの間据え置きにされ、カナダやはNAFTA(北米自由貿易協定)への再交渉への用意はできていると言明しました。

民主共和国においては、国により選挙は4年おき、または6年おきに行われます。一方で議会制民主主義をしているのような国では、政党に投票します。これまで多くの選挙は自民党が勝利してきましたが、有権者の現状への不満や、自民党の行動への反抗として民主党が勝利したこともあります。その顕著な例が1993年と2009年でした。しかしの選挙システムはより複雑です。有権者は議員や知事、市長など自治体の公職などを選ぶ以外に、大統領候補者をも選出します。

結果として現時点においては、トランプ氏は選挙人数(50州の選挙人による投票数)において勝利し、クリントン氏は一般投票において勝利しました。あたかも2000年に、アル・ゴア氏が一般投票で勝利しながら選挙人による投票で敗北した構図に似ています。300万人の米国市民ではない投票者がおり、彼らがクリントン氏を一般投票への勝利に導いたと言われています。その説が正しいかどうかは分かりませんが、トランプ氏は選挙人投票で勝利、すなわち大統領選で勝利しました。

穏便に政権委譲を行いたい人々にとって不幸なことに、強い影響力を持ち、噂によれば世界中の政府を転覆し、ハフィントンポストや南部貧困法律センター、急進的なグループであるラ・ラザ、人工妊娠中絶権利擁護派のプランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood)などに資金援助したと言われる左派の億万長者ジョージ・ソロス氏は、彼が「ムーブオン」というグループにおいて募った抗議者を通じ、トランプ氏の掲げる政策や今回の大統領選勝利に反対の意を表しました [1]。このムーブオンは、不法移民への恩赦などを掲げる進歩的グループで、トランプ氏の掲げる政策に真っ向から反対しています。この抗議以外にも、車の窓ガラスを割ったり、不動産を破壊したり、無差別に人を襲撃するなどの暴力事件が起きています。またムーブオンは、選挙人制度を廃止するよう嘆願しています。

ソロス氏は自身の代理人を通じ、選挙人に対してトランプ氏の大統領選出を取り下げ、理論上ではクリントン氏に入れられた一般投票の結果を重視するよう説得を試みるとのこと。ソロス氏や彼の一派の支持を受けたクリントン氏が選挙人によって改めて大統領に選出されるとしたら、それは前例のないことです。どのような決断が下されるかは12月19日に明らかになりますが、筆者としては新たな歴史が無闇に刻まれることなく、平和的な政権委譲に向けて全ての政党が一致協力することを願っています。

明るいニュースもあります。トランプ氏支持者がムスリムやヒスパニックに対し危害を加えたことに対し、トランプ氏が謝罪しました。そして支持者に対し「暴力を止めるように」と、CBSテレビの「60ミニッツ」で伝えました [2]。願わくばソロス氏がトランプ支持者や他のアメリカ人などに対し行っている暴行を止めることを祈っています。

 

[1] theduran.com/anti-trump-protesters-paid-staged-craigslist-reveals/ [2] www.cnn.com/videos/politics/2016/11/14/donald-trump-60-minutes-harassing-minorities-orig.cnn

 

ダニエル・ペンソ

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米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は、食。日本への旅行時にはを楽しむ。
*ダニエル氏の詳細は以下のページをご覧下さい。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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