長岡広子さん

インタビュー&構成:徳橋功
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Hiroko Nagaoka
米系銀行 契約管理担当
(1991年来米)

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私自身は前よりも自立したと思うし、物を言うようにもなりました。だからイヤなことがあればきちんと伝えます。

ロサンゼルス対談のお二人目は、系の銀行に勤務されている長岡広子さんです。話し口調も立ち振る舞いもとっても穏やかな方で、お話ししていてこちらもとてもリラックスできました。言わば全くアメリカナイズされていないように思えますが、アメリカ生活、実は比較的長かったりします。

だから思いました。きっとこの方は、人の良い所を残したまま、アメリカの良い所も吸収して、今まで生活されてきたんだろう、と。

*インタビュー@ 某アパートメント(オレンジカウンティー
*版はこちらから!

 

終わらなければ明日やればいい

私は銀行で働いています。ロサンゼルスに来て以来5年間、同じ会社で働いています。

まだアメリカでの仕事のやり方を知らなかった時、少し遅くまで働いたことがありました。夕方の5時半まで仕事をしていたのですが、残業を上司に申し入れました。すると上司は「なぜ遅くまで働いているの?」と聞いてきました。私が「今日中に終わらせなくてはならない仕事があるからです。」と答えると「そんなことしなくていいよ。終わらなければ明日やればいい」と言われました。日本の会社とは全く違いますよね。もし日本だったら、おそらく残業して仕事を終わらせなくてはなりません。その考えが私の頭にありました。上司から残業するための許可を取らなくてはならないとは知りませんでした。

特に今の職場では、上司が私を監視することはありません。だから何か問題が起きたら、上司に助けを求めにいきます。言い換えると、彼らは私たちに仕事を任せてくれるのです。仕事を終わらせなければ、なぜ終わらないのか、その理由を問われます。しかし期限までに終わらせることができないと思ったら、前もって助けを求めます。普段、上司は業務内容を報告するようにとは言ってきません。ここでは上司は部下を子供のように扱いません。彼らはただ私たちに仕事を任せてくれるんです。

 

日本に帰ると、自分がここで生まれたことを実感します

日本には、少なくとも2年に1回は帰っています。日本に帰ると、自分はここで生まれたんだということを実感します。アメリカでさえもを食べておいしいと感じるくらい、私は和食好きなんです。 数年前に日本に帰国した時、甥が「焼肉をごちそうするよ」といってレストランに連れていってくれました。食事の後、抹茶味とさくら味のアイスクリームが出され、私はさくら味のアイスクリームを選んで一口食べたんですが、あんまり味がしませんでした。そこで私が「これ、おいしくないな」と、つい言ってしまいました。別に大声じゃなかったんですよ。でも母は「そういうことは言わないの!」と私をたしなめました。私はただ自分の感じたままを口にしただけなんですけどね。

例えばアメリカでは、ウェイターが「はいかがですか?」と聞きに来ます。私は「とてもおいしいですね」と言うか、おいしくなければその事を伝え、他の料理に変えてもらいます。無料で変えてもらえますから。 そういうで生活するうちに、私自身は前よりも自立したと思います。そして物を言うようにもなりました。だから、嫌なことがあればきちんと伝えます。

 

店員同士が客を無視しておしゃべり?

アメリカ人は、日本人ほど他人の噂話をしません。他人のことをそれほど気にしないのです。たとえ、ユニークであったり、周囲よりも目立っていても、そのことを誰も指摘しません。日本では他人と同じでなくてはいけないという空気があるから、流行を常に追いかけていなければならないんです。もちろん、アメリカにも流行はありますよ。でも、その趣が好きな人だけがそれを追っているわけで、他の人々は流行なんて気にしてないです。

逆にアメリカの嫌いなところは、人々がいい加減なところです。特にアメリカ人の接客はひどいです。どこに行っても待たなくてはなりません。

例えば昨日の夜、私がフィアンセと一緒に食料品店に行った時のことです。誰も待っていませんでしたが、お店の店員が彼からお金を受け取った時、その店員の上司がレジに来て、店員と話し始めました。彼は私たちにおつりを渡さずに話し続けたので、その話が終わるまで待たなくてはなりませんでした。日本ではこんなことはまず起こりません。日本では「お客様は神様」だから、いつでもお客さんを優先しますよね。

それに何かを注文してそれが時間通りに来なくても、彼らは電話一つよこしてきません。私が何度も電話して、いつ届くかを聞かなくてはならない。彼らは約束の期日までには届けると言いますが、もし届かなかったら電話をくれるのでしょうか?全然です。ここの接客とかカスタマーサービスは本当にひどいです。日本で何か起こったら店員はまず「申し訳ございません」と謝りますが、ここの店員は「それは私のせいではない」と思っているはずです。

 

日本の本物の和食が恋しい

時々、日本が恋しくなります。特に家族や友人が恋しいです。それほど頻繁にホームシックにはなりませんが、時々みんなに会いたくなります。

本物の和食も恋しいです。特にカリフォルニアでは、ほとんどの日本食レストランは日本人以外の人が経営しています。そういうお店では、キムチなど他のアジアの国の食べものも日本食として出しています。それだと誤解を与えかねません。また、水っぽい米を使ったも見かけました。

ここで日本食レストランに行くとしたら、良い店は数えるほどしかありません。日本食レストランは、ロサンゼルスにたくさんあるのに。だから、日本で食べる和食が恋しいんです。

 

アメリカのにも、差別は存在する

でも多分、ここには長く住むでしょう。まずは生きるために働いて、自分自身を安定させなくてはならないし、日本に帰っても仕事を探すのに時間がかかるからです。なぜなら日本の企業には、性別や年齢による差別が未だに存在しているからです。法律に反するので、アメリカの企業では、一般的には性別や年齢で差別すべきではないとされています。

私が一日だけのセミナーを受けて履歴書の書き方を学んだとき、その用紙には学校を卒業した年を書く欄がありませんでした。卒業した年から年齢を推測することはできますが、それでもあくまで推測の域を出ません。これはある種のトリックみたいなものだと思います。年齢を隠すことができるという点で、この種の履歴書はまあまあ良いかなと思います。

だけど例えば、もしあなたが社長で、まったく同じ学歴や職歴を持った人が2人いるとします。一方は25歳でもう一方は60歳だとしたら、どちらを雇うでしょうか。極端な例ですが、25歳の方が頭の回転が早くて、動作も機敏ですよね。実際には年齢による差別はアメリカの企業にも存在します。日本でもアメリカでも、この種の差別がなくなるとは私は思いません。

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長岡さんにとって、ロサンゼルスって何ですか?

ここが私の居場所になるでしょう。

フィアンセの家族がここに住んでいるので、彼はここを離れたくないと思います。だから私の住まいはここになると思っています。
それに、ロサンゼルスは「人種のるつぼ」です。ここには日本人のコミュニティもあります。私は日本人のグループそのものにはそれほどかかわっていませんが、時々自分の文化が恋しくなります。日本人なら日本人と遊んだり、日本人同士で集まったりしたくなりますよね。ここはそれが簡単にできるんです。

ロサンゼルスは、今では私の家であり、故郷ですね。

 

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