My Eyes 米大統領選2016 ⑤ TPP(環太平洋連携協定)


ニスト/翻訳家

 

TPP交渉参加国

環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership)いわゆる「TPP」は、現在議論されている諸問題の中で、単独のものとしては、今や誰もが認める一番大きな問題です。これは全体の市場の40%、12カ国をつなぐ協定で、参加国はアメリカ、カナダ、、ニュージーランド、ベトナム、、ブルネイ、オーストラリア、、ペルー、シンガポールです。

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一般社団法人 日本貿易会 ホームページより

 

TPP始動への険しい道のり

TPPは貿易協定の一つで、環太平洋諸国をつなぎ、中国やインドといった巨大市場の製品から自国製品を守る効果が期待されています。このTPPは、もうひとつの経済協定であるTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)の姉妹版と言えます。TTIPはアメリカとヨーロッパとの間で結ばれており、両地域間での関税の引き下げや労働関連法の基準強化、貿易や投資の増大、イノベーションの推進、経済成長や経済開発を目指しています。

しかし、TPP はまだ効力が発生していません。それは参加が予定されている国のほとんどで、TTPに反対する国内勢力が大きいためです(*日本では、2015年10月5日に交渉が大筋合意。国内での承認手続きへ)。地球規模で保健問題を研究する人々、インターネット上で自由を呼びかける活動家、保護主義者などが反対していますが、特に大きいのは選出議員からの反対です。

TTPへの不満が大きいのは、富裕国です。協定により安価な商品が流入し、それに伴い富裕国の国民の給料が減らされるではないか、と懸念しています。例えば価格の安い商品は、日本の地域を破壊する恐れがあります。 一方でマレーシアでは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への抗菌薬であるジドブジンの価格が跳ね上がることが予想されるという状況から、国内で反対の動きが大きくなっています。ジェネリックの抗菌薬が導入された2013年7月当時は、一人当たりの年間使用額は70米ドルであったものが、TPP発効後には7,000米ドルにまで高騰すると言われています。

*参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Trans-Pacific_Partnership

 

アメリカ国内の反応

アメリカにおいては、オバマ大統領の所属政党である民主党内でも批判が上がっています。上院議員のエリザベス・ウォーレン氏や、大統領選候補者のバーニー・サンダース氏がその急先鋒です。彼らは「TPP は内密のうちに作られたものだから、協定の内容はきちんと国民に伝えられなければならない」と主張しています。

*参照:http://www.infowars.com/tpp-to-kill-thousands-by-expanding-monopoly-power-of-drug-companies/

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(左)エリザベス・ウォーレン氏 (右)バーニー・サンダース氏 *Photos from Wikipedia

 

TPPが本格始動するまでのプロセスで鍵となるのは、新たに米国下院議長に就任する人物でしょう。この下院議長は、アメリカでは大統領、副大統領の次に位置するポジションです。

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ジョン・ベイナー氏 *Photo from Wikipedia

現在の下院議長である共和党のジョン・ベイナー氏は、今年10月末で辞任することを明らかにしました。ベイナー氏は、「TPP 支持者であるオバマ氏のイデオロギー的な政策に理解を示している」と批判を受けました。時期下院議長は、ベイナー氏とは異なるプの人であることも予想されています。

 

賛否両論が交わされるTPP。日本の皆さんは、どのようにお考えでしょうか?

 

ダニエル・ペンソ

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米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
*ダニエル氏の詳細は以下のページをご覧下さい。 
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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