I Believe That Dreams Can Come True(シンガポール) Part1

インタビュー&構成:徳橋功
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「夢は叶うと信じている」
夢を全に広げるプロジェクト

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夢について話している瞬間、あなたはその夢に一歩近づいています。

 

今回は、2人の女子による地球規模のプロジェクト「I Believe That Dreams Can Come True」をご紹介したいと思います。

出身のテイさんとバルさんは、地球一周の旅に出ました。公共交通機関は基本的に使わず、小さな自転車だけで世界を周るという、途方もない挑戦です。

彼女たちは、旅の期限を決めていません。なぜなら世界中の人たちに「夢」の大切さについて話すからです。世界中の老若男女に会い、彼らの夢を聞き、それをまた他の国や大陸の人たちに広めるという壮大なプランを立ち上げました。

彼女たちの足跡、彼女たちが広めるそれぞれの夢の物語が、一人の人の夢を優しく呼び起こす – そんなことが起きることを、彼女たちは願っています。

*インタビュー@恵比寿
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普遍的な真実

(バル)私たちは2010年3月30日にシンガポールを出発しました 。なのでこれまでに110日間、台湾とを旅してきたことになります。海を渡るときは飛行機に乗り、山越えが必要なときはバスか電車に乗りました。
人はそれぞれ違います。見かけも違うし、言葉も文化も違います。べ物も違います。でも共通点があります。人を幸せにするたったひとつの共通点 – それは「夢」です。

(テイ)私たちがこのプロジェクトを始めたとき、皆さんがどこにいようと、誰もが夢を持っていることに気づいていました。どんな人であれ、夢を持っているものです。夢は人をひとつにします。
だから私が日本にいたとしても、私は皆さんに台湾の人たちの夢を伝えます。そしてきっと皆さんは分かってくれると思います。たとえ私たちが皆さんとは違う夢、例えば私が「先生になりたい」という夢で、皆さんが「おさんになりたい」という夢を持っていたとしても、それらの奥底にある何かを感じると思います。夢の奥底には、情熱が眠っています。それが人をつなぎ、夢をつなぎ、大志をつなぐのだと思います。

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(左)テイさん(右)バルさん  

 

ある老人の情熱

(バル) 自転車でのは、過去に多くの人が挑戦しています。でも私たちがやりたいのは、ただ自転車で世界を周ることではありません。私たちがやりたいことは人々の生活に入り、彼らと話し、夢を聞くことです。
とっても電車が大好きな、台湾人の老人に出会いました。その情熱は“電車”を開きたいと言うほど。でも彼が65歳を迎えたとき、彼は臆することなく語ってくれました。「私にはもうひとつ夢があるんだ。そして私はそれを追いかけたい。それはね、台湾の全ての駅に自転車で行って、それらの写真を撮ることなんだ」。
多分日本の皆さんなら理解していただけるでしょう。私たちシンガポール人の優先順位はまず仕事、収入、車、家など物質的なものです。でもその老人と仲良くなって、彼の夢について聞き、彼の情熱を肌で感じた時、私たちは目覚めました。そして自問自答しました。「私たちは、自分の命を使って何をやっているのか?」彼の夢や情熱は、私たちに勇気やモチベーションを与えてくれました。そして彼に同行したいと思いました。

(テイ) そうです。でもバルは自転車の乗り方を知りませんでした。彼についていこうと決めたとき、彼女はそこまで考えていなかったと思います(笑)

(バル)そうなんです(笑)自転車の乗り方を知りませんでした。だけどその老人と約束したんです。だから自転車は老人を表すシンボルのようになりました。

(テイ)彼の精神や情熱、彼が私たちに思い出させてくれたことの象徴ですね。

(バル) 夢に生きるというのは、その老人にとってはなことだったのでしょう。喉が渇いたから水を飲むとか、お腹が空いたから食べるとか、疲れたから眠るとかと同じですね。でも一方で、都会の人たちにとっては夢を追いかけることは決して自然なことではありません。夢を実現する前に、人は夢を忘れてしまうものです。
そこで鍵となるのが自転車です。私たちの自転車は夢の象徴。自転車を人に見せることで、私たちは人に老人の夢を伝えたいと思いました。それが、自転車で旅をする第一の理由です。
2つ目の理由は・・・もし東京から横浜まで車で走ったら、せいぜい1時間くらいのものでしょう。自転車で走れば1日かかります。だけどその間に、子供たちの登校風景や大人たちの通勤風景など、たくさんのものが目に飛び込んできます。地元の食堂に入って人がどんなものを食べているかを見ることもできます。つまり、人の生活に入り込み、その国のことについて容易に学べるのです。
そしてこれこそが大事なことですが、すごく単純かつ本質的な理由です。私たちの旅は5年間です。だけど予算はすごく限られています。だから自転車が一番安い移動手段なのです!(笑)


この旅のきっかけをくれた老人の物語  

 

ジャーナリストの道から外れる

(バル) 私たちはこのプロジェクトに本気で取り組むために、会社を辞めました。2人でテレビ番組制作会社を経営していたんです。

(テイ) 以前の私たちの夢は、ドキュメンタリー番組でシンガポールの人々の様々なストーリーを伝えることでした。それに挑戦し、そして大きなプロジェクトを終わらせました。そして私たちは充電するために台湾に旅行に行き、老人と出会いました。それが私たちの人生を変えました。

(バル)台湾旅行から帰ってきたあと、テレビ局は私たちに聞いてきました。「番組をもうひとつ作っていただけませんか?」。私たちは「お断りします」とはなかなか言い出せませんでした。なぜなら私たちのような新興プロダクションにとってはなかなか無いチャンスだったからです。

(テイ)でも一方で「夢の達成へのチャンスが巡って来た!」とも思いました。

(バル)だから私たちは心に決め、テレビ局に伝えました。「もう番組は作れません」と。そして私たちは事業をたたみました。会社も無い、お金も無い、すなわち何も無い状況になりました。

(テイ)テレビ局の人たちがいつも考えるのは、お金です。彼らは大きなリターンを生む何かが欲しいわけです。だけど 一人のストーリーテラーとして、私は番組を通して何を伝えられるかについて考えます。それらのバランスを取るのはいつも難しい。もちろんテレビ局は会社であり、営利を追求しなければならないことは分かっています。

(バル)良い番組を作るためには、十分なお金と時間が必要です。でもテレビ局は私たちに「早く、安く」番組を作って欲しいと考えています。だから番組が伝えるべきことについて妥協しない私たちのような人にとって「早く、安く」作る番組で、番組としての品位を保とうとしたとき、注ぎ込める全てのリソースを使い果たし、最後に残った微々たるお金をも番組制作に充てるのです。

(テイ)だからプロジェクトが終わったあと、私たちの魂は抜け殻のようになり、もうテレビやテレビに関する全てのことに対して、きちんと向き合う余力は残っていませんでした。でも台湾で出会った老人により、新しい扉が開いたのです!私たちは「このプロジェクトを、インターネットを活用して地球規模で展開できるかもしれない」と思いました。たとえそれが慣れ親しんだシンガポールや友人、仕事にさよならを告げることだとしても、決心は変わりませんでした。


旅立ちの時  

シンガポールで半年間準備をし、私たちは台湾に飛びました。そこで私たちの自転車の旅を、あの老人と一緒に始めました。しかし1週間後、彼のお母様が亡くなられたのです。中国系のお葬式の期間はとても長く、告別式だけで2週間かけるほど。そしてその後100日間は、故郷を離れることができません。喪に服している間は、お墓に近い場所にいる必要があるのです。
私たちは、100日も待つことができませんでした。だから私たちだけで、台湾一周の旅を続けました。

 

「いい会社に入りなさい」が子供の夢を無くす

(テイ) 私たちが世界一周するために選んだ自転車は、とても小さなものでした。それは私たちがこの旅を始めた理由や、私たちがここにいる理由、台湾の老人の夢、老人の娘さんの夢、そしてたくさんの人たちの夢を伝えるためでした。

(バル)例えば私が老人の家から街まで移動したとします。私はそこで人に会い、彼らに老人についてお話します。同時に私は彼らのお話も聞きます。そして次の街に行き、そこで老人の夢と、その街の前の街で聞いた夢の話を、人に伝えます。
私たちはや学校、大学、小学校に行き、私たちがそれまでに聞いたお話を伝えました。台湾のカフェでは、その場にいた人たちはみんな手を上げ、立ち上がって自分たちの夢について語ってくれました。

(テイ)自分の心の声を聞くとき、皆さんは自分の夢についても耳を傾けています。そして立ち上がり、周りにいる人たちにそれを伝えます。その瞬間、皆さんの夢はもう少しで実現、というところまで来るのです。私たちは人々の夢を私たちのサイトに掲載するので、より多くの人たちがそれらを見に来てくださいます。そして皆さんが見てくれた夢の話を、他の人に伝えてくれる・・・雪だるま式に夢をシェアする人が増えていくんです。

(バル)皆さんがご自身の夢について話すとき、まずたくさんの人たちが耳を傾けています。その次に、皆さん自身がそれを聞いています。そして一番大事なことは「皆さんの心がそれを聞いている」ということです。心で夢の話を聞くとき、その時点で皆さんは夢の実現に一歩近づいているのです。

(テイ)もうひとつ、もし皆さんがご自身を幸せな気持ちにするものを考えたとき – ダンスでも歌でも勉強でも、何でも結構です – 皆さんはきっと夢を見つけるでしょう。そしてその実現に向けて、正しい方向へと進むと思います。
でも実際には人々、特に子供たちは、夢を途中で見失いがちです。なぜなら周りの大人たちが「良い会社に入って良いお給料をもらいなさい」と言うからです。

(バル) 日本に来てから東京大学の学生たちと話したとき、ある女の子が「ありがとう!」と私たちに言ってくれました。彼女はそれにより子供の頃の夢を思い出したのだそうです。40人の学生さんが自分たちの夢を共有し、少なくともその子は自分の夢を思い出したのです。私たちにとっては、それで十分です。

(テイ)私は彼らに聞きました。「皆さんの心にある宝箱には、何が入っていますか?」もしそれを見つけたなら、それこそが夢なのです。夢を描くとき、彼らは自分の内面とつながっています。そして自分の好きだったことや、昔の自分が大切にしていたことを思い出すのです。


「日本の子供たちへの贈り物」  

 

夢は心の底からやって来る

(テイ)皆さんを幸せにするのは、ご自身の心の奥から生まれてきます。それはとても純粋なものです。でも時が過ぎ、ストレスやお金儲けや締め切りなどでそれを忘れてしまうものです。しかし私たちは皆さんに、時々で良いので子供の頃を思い出していただきたいのです。どんな時に、幸せを感じたか?みたいに。 日本では、私たちはたくさんの絵を集めました。他の日本人にもぜひお見せしたいものです。子供たちだけでなく、大人たちにもぜひご覧いただきたいと思います。

(バル)私たちの自転車に、プレートが掛けられています。それには「自分の夢を描いてください」と日本語で書かれています。私たちは都内でたくさんの人にそのプレートをお見せしました。そして若い人もご年配の人もご自身の夢の絵を描き、そこに子供たちへのメッセージまで付けてくれたのです。さらに彼らは私たちのビデオカメラに向かって話しかけてくれました。

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日本語で書かれたメッセージ  

 

人は、何かを知ったらそれを誰かと共有したくなる。そうやって人はお互いに勇気付け合うのではないでしょうか。

 

Part2はこちらから

 

関連リンク

I Believe That Dreams Can Come True サイト:http://www.ibelievethatdreamscancometrue.com/
*Twitter:http://twitter.com/taynval
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*映像集 on Vemeo:http://vimeo.com/ibelieve  

 

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Interviews with international people featured on our radio show on ChuoFM 84.0 & website. Useful information for everyday life in Tokyo. 外国人にとって役立つ情報の提供&外国人とのインタビュー

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