My Eyes 米大統領選2016 ⑮ 葬り去られたライバルたち、そして秘密
ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家
現地時間5月3日のインディアナ州予備選。ここでドナルド・トランプ氏が大勝利を収めました。一方、最大のライバルだったテッド・クルーズ氏は壊滅的打撃を喫し、大統領選から撤退しました。そして翌5月4日にはジョン・ケーシック氏も選挙戦から撤退し、トランプ氏が党の指名を獲得することが、これで確実になりました。
トランプ氏は、またもライバルを葬り去りました。17名の候補者で始まった共和党の選挙戦は、今やトランプ氏のみ。ジェブ・ブッシュ氏の弟であるニール・ブッシュ氏の後ろ盾を得たはずのクルーズ氏が撤退した背景は、恐らくジェブ・ブッシュ氏が“消された”理由と同じく、秘密のベールに覆われているのではないでしょうか。
多くのアメリカ市民の間で周知のように、ブッシュ家とクリントン家はアメリカの政治界に絶大な影響力を持っています。トランプ氏は今回の選挙戦でブッシュ家の2人(ジェブ氏と、クルーズ氏を支援したニール氏)を敗北に追い込み、ひょっとすればクリントン氏をも征圧するという前例のない勝利を収める可能性も出てきました。
ジェブ・ブッシュ氏の選挙戦を終焉に至らせたのは、同時多発テロとイラク戦争です。トランプ氏は「テロ事件の直後にブッシュ家がテロリストと彼らの家族をアメリカから脱出させた」と非難、それに加えて人命の犠牲と5兆ドルもの資金の垂れ流しで終わったイラク戦争についても批判しました。
そしてクルーズ氏を撤退に追い込んだのは、クルーズ氏本人というよりは、彼の父であるラファエル・クルーズ氏と言えるでしょう [1]。トランプ氏はラファエル氏が、あのジョン・F・ケネディ元大統領を暗殺したとされるリー・ハーヴェイ・オズワルドとつながっていると、トランプ氏は指摘しました。世界中に衝撃を与えたとはいえ50年以上前の出来事。それが今でも政治界に影響を残しているのです。
ケネディ氏は、これまで事実上ほぼ全ての大統領が支援してきたアメリカの軍産複合体に、敢然と立ち向かった数少ない大統領の一人です。
[1] www.cbsnews.com/news/trump-cruzs-dad-was-with-lee-harvey-oswald/
ダニエル・ペンソ
米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。