ジェームズ・コリンズさん(アメリカ)

インタビュー:ケリー・サン
構成・語訳:徳橋功
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James Collins
プロデューサー

 

 

アイドルで日本をより良い場所にする – それを僕は実現したい。

 

 

日本にはアイドルグループがたくさんいます。中でもジャニーズ事務所所属の男性グループは日本国内だけでなく、アジアを中心とした海外でも高い人気を誇っています。同じく女性グループも、AKB48やその派生グループがあらゆる年齢層から人気を博しています。

それらアイドルグループのメンバーは、大体において日本人。外国にルーツを持つ人たちも一部いますが、少数派に留まっています。

そんな”単一民族的”とも言える日本のアイドル業界に、一人のアメリカ人男性が一石を投じました。日本の大学でジャーナリズムを学ぶ大学院生、ジェームズ・コリンズさんです。ジェームズさんはアイドルグループのプロデューサーで、他とは明確に一線を画すユニークな特徴を打ち出しました。それが”メンバー全員外国人”です。しかもそのグループの結成当初の名前が物議を醸し、ネットでも話題になりました。

なぜ日本で男性だけの、しかも外国人だけのアイドルグループを結成したのか – 私たちはその理由や経緯に迫りました。

*インタビュー@KNS英会話教室 (東京都港区)
版はこちらから
英語版校正:ネイサン・イーデンさん (ブログ「Japan Oblong」管理人)

 

前代未聞のアイドルグループ、誕生

僕は「COLORFUUUL」という外国人男性アイドルグループのプロデューサーをしています。少しだけジャニーズアイドルっぽく感じられるかもしれません。メンバーの出身国は、アメリカ、、イギリス、と多岐にわたります。「COLORFUUUL」というグループ名は、様々な国から来た、多種多様な背景を持つ、それぞれが異なるを、日本語以外に話すという僕らの姿を表しています。僕らはよりマルチカルチャーで多様性豊かな日本といった、これまであまり強く打ち出されてこなかったイメージを体現しているのです。


Universal! Unified! Unique!日本初、全メンバー外国人男性で構成されたアイドルグループ「COLORFUUUL」が東京のミュージックシーンに新たな旋風を巻き起こす!COLORFUUULはその中毒性のあるジャパニーズスタイルのアップテンポなサウンドで、人々に興奮をもたらし、音楽という世界共通の言語を通して、文化の交流をはかることを目的としています。と日本語への愛によって一致団結した、国際色豊かなCOLORFUUULのメンバーたちが特別な経験をみなさんにお届けします。一緒に日本を冒険して、日本文化の良さを再認識しましょう!Let's be COLORFUUUL!

このグループは元々「Guyjin48」という名前でした。「Guyjin」(ガイジン)は「Gaijin」(外人)から来ています。僕はもちろん名前で誰かを傷つけるつもりは全くありませんでしたが、中には否定的な見方をした人もいました。おそらくその人たちは、その名前がやや不適切であるとか、差別的であるとさえ考えたと思います。

「COLORFUUUL」への改名を決める前に、たくさんの日本人や外国人に相談しました。せっかく付けた名前を変えるのは辛い決断でしたが、変えて良かったと思っています。そしてこの改名のもう一つの理由は「48」の部分です。そのままにしておくと、日本の某有名アイドルグループとトラブルになりかねないと思いました。考えられる限りの法的な問題を避けるべきだと僕は考えました。

話が前後しますが、2016年冬に僕がメンバー募集の告知を「Craigslist」(クレイグズリスト)というネット掲示板に出したところ、かなりの数の応募がありました。僕は即座に「たくさんの外国人が、このようなチャンスを探しているんだ」と感じました。もちろん僕は、応募者全員に参加してほしいと思いましたが、最終的にはラッキーナンバーの6人に落ち着きました。2017年には日本の有名ヒップホップグループのメンバーが僕らのために3曲書いてくれ、それらは僕らのファーストミニアルバム『Let's Be Colorfuuul!』に収録されました。

僕がこのプロジェクトを立ち上げてから約1年半が経ち、ついにライブデビューへの準備も整いました。僕らのファーストミニアルバムも完成しました。作品を絶え間なく生み出したり、定期的にライブを行ったりするためには、まだまだやらなければならないことはありますが、クレイグズリストに最初のメンバー募集告知を貼りだした頃から見れば、物事は大きく動いてきたのです。このプロジェクトに関わってきた全ての人たちにとって、信じられないほどの学びの経験となりました。

僕はこのプロジェクトの前、アイドルのマネージメント経験は皆無でした。だからたくさんの壁にぶつかりました。例えばメンバー募集の際、このプロジェクトの信頼性が問われました。何もないところから生み出したものですから、仕方がなかったと思います。僕はクレイグズリストに出した告知に対し、人がどんな反応するのか見てみました。その多くが、その告知が本物かどうか分からないという感じでした。なぜなら僕はオフィスが無かったし、登記もしていなかったからです。しかも人は当時の「Guyjin48」というグループ名を見て、何かの冗談だと思ったのではないでしょうか。でも僕らの最初の記事が出るやいなや、たくさんの応募をいただくようになりました。一度ミュージックビデオのように人に見せることができるものを手に入れたら、自分たちがきちんとしたグループであることを証明できる。そうなれば弾みがついて、物事がすごくスムーズに動いていくように思いますね。

 

僕たちはここにいるんだ!

僕が”全員外国人男性のアイドルグループ”というアイデアを思いついたのは、5年前です。そのころ、僕はいろんな日本の音楽を聴きながら日本語を学んでいました。ちょうどAKB48の曲が流れてきたとき、僕はふと考えたのです。「なぜ外国人版AKB48が無いのだろう?」と。確かにAKBはアジア各国でも同じコンセプトのグループを生み出してきましたが、日本には外国人グループがありませんでした。僕が実際に結成したのは女性グループではなく男性グループでしたが、それは「Guyjin48」(Guy=男)という名前を考えたからでした。僕はこの名前を絶対に使いたいと思っていたので、そのためにはメンバーが全員男性である必要があったのです。

「僕ら外国人はここにいるんだ!」と大声で言うチャンスを、僕は窺っていました。日本語を学ばなかったり、まともな仕事に就いていない人も確かにいます。だから外国人に対して良い印象を持っていない日本人も多いでしょう。でも実際には、たくさんの外国人が日本語を学び、日本語を話し、日本で就職しています。日本の皆さんには、そのように一生懸命働き、日本社会に馴染もうとしている外国人に、もっと触れてほしいと思っていました。

芸能界を見ても、日本の有名人は大体において、そのままの日本が好きであることを期待されており、多文化主義を支持することは求められていません。もちろん海外出身やハーフのアイドルおよび芸能人が日本の芸能界に一部存在しますが、外国人に向けて門戸を開くことに対する抵抗勢力が未だ国内に多いのも事実です。だから「私はそのままの日本人や日本が好き」というイメージを、多くの芸能人が示す必要があるのです。

アイドルグループのアイデアを思いついた当時、僕は英語講師をしていました。その頃マイケル・ボデインというフィリピンとアメリカのハーフの友人が僕と同じ街で英語を教えていていて、何回か一緒に外で事したりしました。僕は2013年夏、彼に自分のアイデアを伝えました。その後、彼が2016年に『のどじまんTHEワールド』(日本テレビ系)という番組で優勝したことを機に、日本の芸能界に豊富な人脈を築きました。ちなみに彼は今年(2018年)も優勝しました。そんな彼が、僕に作曲家や振付師を紹介してくれたのです。

「僕たちはここにいるんだ!」というメッセージを日本の人たちに届けることができると、真剣に思っています。なぜなら僕たちはすべての曲を日本語で歌っているからです。

 

最大の難関「日本語」を突破せよ

日本には約5年住んでいます。日本語を学ぶために日本に来ました。日本語の勉強自体は、アメリカで2年、日本で5年、計7年しています。僕の父も1956年、彼が3歳の頃に日本に住んでいました。そして10年前に父は仕事の関係で再び来日することになったため、日本語を学び始めました。そんな父がある日僕に、何か他の言語を学ぶことを勧めました。それで僕は、日本語が面白そうだと考えました。

僕が日本語の勉強を始める前、6年前の夏に大学主催の1か月の旅行で初来日した時、日本語に関する知識はほぼゼロでした。カルチャーショックがあまりにも大きく、衝撃を受けました。日本のみならず海外旅行すら初めてで、当時の僕は典型的なアメリカ人だったと思います。でもそれから日本が好きになり、もっと日本語を学びたいと思いました。僕は新しいことを学んだり、新しいことに挑戦するのが本当に好き。日本はそんな僕にたくさんの刺激を与えてくれたのです。そして今も僕は日本で刺激を受けています。

僕は、言語を学び習得するための唯一の方法は、その言語が話されている国に住むことだと考えました。そして僕は完全に日本語と日本文化に我が身を捧げました。行けるところまで行きたかったのです。当時の僕の日本語レベルはとても低かったと思いますが、めちゃくちゃ高い目標を掲げました。「日本語で博士号を取得する」です。一見すると不可能に思えるこの目標を達成させるため、過去3年間はとても大変でした。英語圏から来た友人たちとの交流を一切断ち、毎日日本語だけ話しました。日本語を学んでいた間、僕は外国人コミュニティとのつながりも断っていました。その結果、日本語能力試験の最高峰であるN1(1級)を、来日後1年半で取得したのです。

 

日本をより良い場所にするために

僕は今、東京にある日本の大学院でジャーナリズムを学んでいます。でも僕がなりたいのはプロデューサーです。ジャーナリズムに強い興味があるものの、アイドルグループのプロデュースの方がはるかに楽しいのです。もちろん変化が激しい仕事だから、プロデュースの仕事そのものが挑戦ですが、でもその挑戦があるから、この仕事は楽しいんですよね。退屈な瞬間は一時たりともありません。

僕の将来の目標は、自分のアイドルグループを、あらゆるものを生み出すプラットフォームとして活用することです。また、メンバーの仕事における目標が何であれ、このグループを通じて彼らを成功に導きたい。このグループを通じて、彼らがクールで有意義な人生経験を、この日本でできるようになれば良いなと思います。

そしてもちろん自分も、です。僕もこのグループを、自分と志を同じくする、それぞれの分野のトップに立つ、同じような目標に向かって活動する人たちに出会う手段として活用できればと思っています。

僕は日本がより良い場所になることに貢献したい。この国は人口減少に直面しており、それに比例して外国からの労働力への需要が急速に高まっています。人々は自らが直面する問題にもっと目を向け、変化に対応するための準備をする必要があります。そのような状況だからこそ、僕のプロジェクトは、変化への対応が日本の人たちにとってより容易になることに、微力ながら貢献できるのではないかと考えています。それが僕の第1の目標です。さらに僕は外国人たちに、日本の文化に敬意を払い、日本社会に馴染む努力をするよう働きかけたいと思います。


インタビュー:ケリー・サン

 

ジェームズさんにとって、日本って何ですか?

外国人としての自分、また特に来日時に日本語を話せなかったアメリカ人としての自分にとって、日本は乗り越えるべきハードルです。

外国人として、東京に住むことは挑戦です。もしかしたら僕は、語やフランス語など、英語のネイティブスピーカーにとってより簡単な言語を学んでいたかもしれません。日本語がそれらの何倍もむずかしいことを知っていたし、日本文化はアメリカ文化とは天と地ほどの違いがあることも知っていました。

だから日本は僕にとって”挑戦”です。でもその挑戦を求めたから、僕は日本に来たのです。その挑戦を、僕はこれからも受け入れたいと思います。

 

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