My Eyes 米大統領選2020 ①「トランプ再当選」たった1つの理由

ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家

 

私の娘の好きな本の中に『へっこきよめさま』というのがあります。昔あるところに、妻と一緒にいたくないという男がいました。その理由を聞いてみると、彼女がおならをすると部屋が揺れ、あらゆるものと共に男の両親まで吹き飛ばされてしまうとのこと。やがて男は妻を実家に戻そうと決意。しかしその道中で、妻のお腹から出たガスが、高い木になっているたくさんの梨を吹き飛ばして地面に落としたり、出航できずに困っていた、たくさんの米俵を積んだ船をおならで沖まで吹き飛ばしてあげたりするところを見て、妻がどれほど価値ある素晴らしい人かを改めて感じた・・・めでたしめでたし、というお話です。

ドナルド・トランプ大統領も、もしかしたらこの『へっこきよめさま』と似ているかもしれません。なぜなら、たとえ彼のツイートや物言いが、お腹にたまったガスのように吹きまわっても、アメリカや世界に良い結果をもたらしていると思うからです。さて、どのように?

まず、トランプ政権下では新たな戦争は起きていません。かつてのカーター政権以来、どの政権もアメリカは世界各地での戦争に巻き込まれたり、また戦火をもたらしてきました。ロナルド・レーガン政権は戦争や紛争を始めこそしなかったものの、レバノンへの海兵隊および海軍派遣、グラナダ侵攻、リビア爆撃(または爆撃をちらつかせた?)を実施。ジョージ・H・W・ブッシュ(パパブッシュ)政権は湾岸戦争を引き起こしました。ビル・クリントン政権はセルビア(コソボ)やスーダンを爆撃し、続くジョージ・W・ブッシュ政権は第二次湾岸戦争やアフガニスタン侵攻を実施。バラク・オバマ政権はリビアその他中東諸国への軍派遣や爆撃を実施し、チュニジア、エジプト、リビアの政権を倒しただけでなくシリアで今も続く内戦の端緒にもなった「アラブの春」を支持しました。

トランプ政権はシリアに対しごく小規模の爆撃や攻撃を行い、イエメン内戦に向けサウジアラビアに武器輸出を行ったものの、新たな紛争を始めたり介入したりはしませんでした。実際、イランとの戦争を望む声がトランプ政権に相当数寄せられたといいます。トランプ大統領は米軍機をイランへ飛ばす一歩手前まで進めていましたが、ギリギリになって撤回しました。これがジョージ・W・ブッシュ政権でイラクやアフガニスタンでの戦争への流れを作った、主戦論者であるジョン・ボルトン氏のトランプ政権離脱へとつながったのは、もはや必然だったと言えるでしょう。アメリカが海外での紛争に介入していくことに対する、アメリカ国内での圧倒的な不支持が存在するにもかかわらず、ボルトン氏は「アメリカは中東をテロの脅威から守るために、現地に留まるべきだ」という自論を推進しようとしていました。しかしトランプ氏は彼の主張を退け、それにより多くの命が救われることとなりました。しかも支出削減にもつながったのです。

2020年大統領選でのトランプ氏の対抗馬であるジョー・バイデン氏は、クリントン政権でコソボ進攻を支持し、ブッシュ政権時は湾岸戦争を容認。オバマ政権時に世界各地で起きた紛争に、アメリカが積極的に介入していくことにも支持を表明しました。戦争は人命と資金を犠牲にするもの、だから無闇に起こされるべきものではありません。バイデン氏が新たな戦争に対し反対しなかった一方、トランプ氏は反対しました。これは、今選挙においてトランプ氏への投票を促す、決して小さくない要因となり得ます。

『へっこきよめさま』に出てくる、お腹から出てくるガスは、その瞬間は臭いし、人を不快な気分にさせるもの。しかし爆撃により生じるガスはそんなものでは済みません。人の命を奪うのです。

 

ダニエル・ペンソ
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米カリフォルニア州在住の日英翻訳家。1999年~2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。

 

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