中里クララさん(ベネズエラ)

インタビュー&構成:徳橋功
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Clara Nakazato
ベネズエラ料理@新宿区四谷
(’95年より日本在住)

 

どこか別の場所に行くのは全然平気。相手の国籍や肌の色も全く気にしません。

大分ご無沙汰しておりました。この間に大きな地震が起きましたが、皆様、そして皆様のご家族やご友人の方々はご無事だったでしょうか。東北を中心とした広い地域では、今もなお大変な日々が続いていると思います。被災された方々に対して、どのような言葉を述べるべきか、未熟者の私たちは本当に分かりません。そして東京周辺でも余震が続いています。どうか引き続き、注意していきたいと思います。

さて4回目の「MET × Niki’s Kitchen」は、南米ベネズエラ出身の中里クララさんです。すごく温かくて包容力がある、生徒さんにとっては優しいお母さんのような先生です。そんなクララさんが運営する教室を、日本人のご主人が陰日向となって支援しており、ご夫婦が醸し出す柔らかな雰囲気に惹かれて教室に通う生徒さんもいらっしゃるのだとか。

そんなクララさんの大らかさは、ご自身のオープンさから来るもの。人に対して壁を作らず、何事にも躊躇しない。それまで食べたことのないものは、取りあえず食べてみる。人を人種や国籍や肌の色で区別しない。クララさんは、目の前の皆さんのありのままの姿を見つめています。

私たちは思いました。「”国際的な人”とは、彼女のような”心の広い人”のことを言うのだ」と。

*インタビュー@新宿区四谷
* Niki’s Kitchen ホームページ:こちらから
*英語版はこちらから!

 

講師の存在意義

私は、他のどんな料理よりも、4つ星レストランの豪華な食事よりも家庭料理の方が上だと思っています。なぜなら有名なシェフたちは、料理の基本をお母さんから学んでいるからです。新鮮で、家庭的かつ親しみやすい雰囲気を演出する。これが私たち、家庭料理を教える先生たちにとって大切なことです。

そして私は、人と何かを共有することにおいてはNiki’s Kitchenの右に出るものはいないとさえ思っています。生徒さんはいろんな場所から来るのですが、彼女たちが一緒になって料理を習い、実際に作り、椅子に座り、テーブルを囲んで会話に花を咲かせるうちに、いつの間にかお互いに一つのものを共有する。料理をしている時とテーブルで出来上がったものをいただいている時は、お互いに会話の内容が自ずと違ってくるはず。出会いをただの出会いに終わらせない仕組みが、Niki’sにはあるんです。ある人は初めのうちは恥ずかしがって何も話さなくても、次第に絆のようなものが出来ていく。そうやって、生徒さんたちはお互いにどう交流を図っていけば良いのかを学んでいきます。

だから私たち講師の役割は、料理を教えることもそうですが、生徒さん同士の交流を上手に促していくことなんです。

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レシピの前に、英会話を勉強しよう!
2011年1月16日

 

夫をオトした料理

私の料理は祖母から受け継いだものです。私の実家は約30人の大家族ですが、毎週日曜日には全員が祖母の家に集まって、朝食やランチをいただきます。祖母はシェフとして”クリオーリョ”というベネズエラの家庭料理を作ります。父はよく祖母をお手伝いしていましたね。母もお料理やテーブルセッティング、人へのおもてなしが大好きでした。だから私は料理にまつわるあらゆることを、彼らから学んだんです。

でも私が実際に包丁を握ってお料理をし始めたのは、結婚してからです。一番最初に作ってあげた料理に、主人はすごく感動してくれて、涙を流したくらい(笑)彼曰く、とってもおいしくて、いろんな料理がテーブルに並んでいたからだそうです。私は門前の小僧みたいな感じで、祖母や両親から料理を習っていたんです。

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優しいご主人が、日本語で生徒さんたちにレシピの説明をします。
自らクララさんのアシスタント役を買って出ているくらいです(笑)

 

何でもありの世界

私が Niki’s Kitchen で教え始めたのは、私が大切にしていることを他の人にも伝えたいと思ったからです。それにNiki’sは、新しく人を招き入れる良いきっかけにもなりました。私の国のこと、私たちがいかにして国際結婚を果たしたか、日常生活でのベネズエラと日本の文化の融合、そういうことを話すのがとっても楽しいんです。それにベネズエラ風と日本風のおもてなしを、生徒さんたちに感じていただけていると思います。

私たちの間には、障害となるものは一切ありません。どんなアイデアだってウェルカム。とにかく試してみて、その結果生まれたものを受け入れる。それが私のやり方です。

私はNiki’sに参加できて嬉しいです。なぜならNiki’sは若い人たちを育てる役割も果たしているからです。私の主人も同じです。彼はNiki’sのおかげで、いろんな場所から来たいろんな人たちと出会うことができた、と言っています。彼も私と同じように、生徒さんたちと話したり、彼女たちの話を聞くのが好きなんです。

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生徒さんに料理を教えるクララさん。きっと彼女自身、おばあちゃんやご両親からこんなふうに料理を教えてもらったのでしょうね。 

 

二律背反

でも実を言えば、Niki’sで先生になるまでに1年かかりました。

コロンビア出身の友人(降旗カミラさん)が「今、Niki’s Kitchenというところでお料理を教えているの」と教えてくれました。それで「クララ、あなたもやってみない?」って。私は、まずは彼女の授業を見せてほしいと言いました。そして実際に見ました。

Niki’sで教えてみようかな、と思いました。でも私は元々金融とかマーケティングの人間で、料理関係の仕事の経験は一切ありませんでした。ベネズエラと日本のIBM現地法人で金融の仕事をしていたんです。だから私は、自分が料理を教えられるなんて考えられませんでした。私も私の主人も、自分の料理教室を開くなんて考えたこともなかったです。それに、見知らぬ人を家に入れることも躊躇しました。私だけじゃなく、Niki’sのたいていの先生はそうだったと思います。

その後Nikiさん(Niki’s Kitchen代表の棚瀬尚子さん)がウチに来て、私の作った”パベジョン・クリオーリョ”を召し上がりました。そしてNikiさんは私に言いました。「どうかNiki’sで、料理を教えていただきたい」と。それで腹が決まりました。その後2010年4月、私のクラスはスタートしました。

元々私はテーブルセッティングやお客様へのおもてなしが大好き。だからクラスを持つのがすごく楽しいんです。それに私自身も学ぶことが多いです。毎月新しいレシピを用意する必要があり、そのたびに「もしこのメニューを自分がいただいたとしたら、どう感じるか」を常に自分に問いかけなければいけません。だからレシピ作りは毎月、時間がかかります。

私にとって料理を教えることは、私の生活を生徒さんたちに見せることにも等しい。それでも、私がいとおしく思うものを生徒さんたちに伝えたい。Niki’sの本質を一言で言い表すなら”共有”だと思います。私たち講師は、生徒さんたちに教えているのではない。生徒さんたちと”分かち合って”いるんだと考えています。

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習うより慣れよ!

 

生まれつきインターナショナル

ベネズエラ人は、いつも外の世界に対して興味津々です。たくさんのベネズエラ人が欧米に留学に行きます。でもその大半は、卒業後ベネズエラに帰ってきます。その点、私は他のベネズエラ人とは違うのかもしれません。アメリカに渡って運命の人に出会い、そのまま地球の反対側に行ったきり母国に帰らなかったのですから。

そのルーツは私の家族にあるのかもしれません。父方のルーツはスペインで、母方はフランスです。私自身はアメリカに留学し、卒業後に現地で就職しました。主人とはアメリカで出会い、80年代に結婚しました。

私の家系には国際結婚組が少なくないのですが、日本人と結婚した人は私以外にはいません。でも親戚一同が日本人の主人を受け入れてくれたんです。それ以来、彼らは日本の動きに関心を持ってくれています。

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ベネズエラ家庭料理の典型「クリオーリョ」
* ベネズエラ風バレンタインデザートに興味がある方は、こちらをクリック!

 

恐れず、隔てず、躊躇せず

でも日本で生活することは全然想像していませんでした。私たちにとって、日本は本当に地球の裏側と言っても良いくらい離れた場所。日本に来たのも、主人が日本の本社に転勤になり、それについていったからに他なりません。元々私はどこかに移動することに全然ためらいがないんです。なぜなら世界中のどこへでも24時間以内に行けると思っているから。

それに私は未知の食べ物や味に対して全く抵抗がありません、むしろオープンです。主人と一緒に、シカゴで私が初めて寿司を食べた時も、平気で生魚を食べたくらいです。私は何かと何かの”違い”を見つけることに腐心するより、共通点を探したいと思うタイプ。ベネズエラ人も日本人も魚を食べるし、肉や米も食べます。そこに違いがあるとしたら、調理法や食べ方くらいのものです。

私は主人に初めて会った時、彼の国籍や肌の色なんて全く気にしていませんでした。私たちは同じものを食べ、同じもので楽しむことができた。それが私にとって何よりも大切なことだったんです。

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クララさんにとって、Niki’s Kitchenって何ですか?

今まで私が学んできたものが、私という人間を形作ってきました。だからNiki’s Kitchenは、私という人間を日本の人たちに見せる場所なんです。

日本に来て以来、私は人生を楽しんでいます。日本人はとても優しく、もてなしてくれるし、不満なんてどこにもありません。私の人生は、人や文化を知ることでさらに豊かになりました。日本に来てから成長したと思います。

Niki’sは、そんな私が日本に恩返しをする場所です。

 

クララさん関連リンク

Niki’s Kitchen クララさんの紹介ページ:こちら
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Treasure of Earth:www.treasureofearth.com(英語・スペイン語)

ラジオに出ました!(2011年2月12日) 番組ブログ:Click!

 

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