GTIC feat. バングラデシュ!

取材&構成:徳橋功
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ここは一体どこ?

・・・紛れもなく、東京・六本木です。「分野・国籍・年齢を超えてコミュニケーションを取り、よりオープンに、よりグローバルに、よりイノベーティブに、ベンチャー、起業、スタートアップ、イノベーションを考えよう!」をスローガンに掲げ、元外資系インベストメント・バンカーの秋山智紀氏が率いる起業家集団「GTIC(Global Techno Innovative Cafe)」第37回目の勉強会は「バングラデシュのIT事情と日本との相互展開」がテーマでした。その前のの会合(ビジネスのワークショップ。MET主宰の徳橋が英語プレゼンをし、力不足を痛感しました)からわずか5日後の緊急開催です。

*写真提供:GTIC

英語版はこちらから

 

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バングラデシュからのゲストスピーカーは2人。一人は、村上春樹をこよなく愛し、趣味では俳句を詠んだり、日本画に影響を受けた絵画を描くというマンズール・マーマド氏。もう一人はバングラデシュのシリアル・アントレプレナー(連続起業家)で、かつて仕事の関係で日本での滞在経験もある、アマドゥール・ホック氏です。

 

まずはマンズール・マーマド氏DataSoft Systems Bangladesh Ltdという、IT関係のアウトソーシングやオフショア開発、データ保護などを請け負っている会社で最高執行責任者を務める一方、BASIS(Bangladesh Association of Software & Information Services)というバングラデシュの業界団体で議長を務められています。

 

「親友には、良い話を話したくなるものです。日本はバングラデシュにとって親友ですので、今日は皆さんに”バングラデシュには、とてもたくさんのチャンスがある”ということを伝えたい。そのために日本に来ました」という挨拶から始まったマンズールさんのプレゼンは「バングラデシュの大きな可能性」がテーマでした。

 

バングラデシュの「ここがすごい!」マンズールさん編

● バングラデシュの全人口1億6000万人のうち、65%が25歳以下。イノベーションに必要な若い人材が揃っている。
● 彼らは勤勉で、賃金が安い。しかも生産工程や品質管理、財務、物資の調達に関する知識を多く持っている。
● アパレル業界の輸出量は、人口あたりでは中国を抜いている。
● バングラデシュは英連邦に属しているので、イギリスと同じ水準のが行き渡っている。
● バングラデシュ人は英語を幼児の頃から学ぶ。
●「デジタル・バングラデシュ」つまり、途上国であってもデジタルを使う国を目指すための施策が打ち出され、政府が様々な形でサポートしている。


「バングラデシュのような国からでも、イノベーションを生むことは可能です。もしイノベーションが起きなければ、皆さんは生きてはいけないでしょう。なぜなら資源は限られているからです。我々にとってイノベーションは、生存のために必要なものです。そしてイノベーションが次のイノベーションを生むのです」

 

続いてアマドゥール・ホック氏ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・グループという世界的企業で国際ビジネスの経験を積み、その後起業家に転身。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング:情報技術関連だけでなく、会社などの一連の業務そのものを代行するサービス)の分野に尽力し、バングラデシュ国内にいくつものコンタクトセンター(顧客対応を専門に行う事業所や部門)を立ち上げました。現在はVIRGO Cotact Center Service Ltdで常務、BACCO(Bangladesh Association of Call Center & Outsourcing)という業界団体の代表を務めています。
しかもアマドゥールさんはブリティッシュ・ン・タバコに在籍中、日本に約1年間滞在した経験をお持ちです。そんなアマドゥールさんのプレゼンのテーマは「なぜ、バングラデシュか?」でした。

 

バングラデシュの「ここがすごい!」アマドゥールさん編

● バングラデシュでの離職率は7%。基本的に同じ会社で働くのを好む。
● 今後10年間で、7億ドルが人材教育費に充てられる。
● 政府が複数のITパークを計画している。その中には世界銀行からの支援を受けているものもある。
● ITパークで事業を起こした場合、10年間の所得税免税期間が適用、また物品を輸入する場合も関税が免除になる。所有権も100%保証。

「皆さんは、この動きをただ見ているだけなのか、それともこの波に乗るのか?今日の私たちの話を受けて、会社に帰って是非考えていただければと思います。も良し、スリランカも良し、でもバングラデシュもぜひ選択肢に入れてほしいのです」

 


お2人のプレゼンの後、GTIC代表でスタートアップ・アクセラレータの秋山智紀さんが聞きました。
Q: もうすぐ(2013年末ごろ)バングラデシュで総選挙が行われますが、もし政権が代わったら、お話されたようなことは立ち消えになってしまわないでしょうか?

この問いに対して、アマドゥールさんが答えました。
A: これまでの20年間、政権は何度も代わってきましたが、政府からビジネスへのサポートが止まることはありませんでした。特にアパレルの分野はマネージメントは大変でしたが、それでも成長を果たしました。国のGDPも6%の成長を継続しています。

 

プレゼン終了後、場所を移して懇親会へ。楽しい宴の間、お2人からメッセージをいただきました。

 


DataSoft Systems Bangladesh Ltd 最高執行責任者 マンズール・マーマド氏
バングラデシュの強みは、私のように外国で教育を受けたり仕事をしてきた者が帰国し、祖国に貢献していること。バングラデシュはIT産業誘致やへの条件は整っています。バングラデシュは才能を持った人材が豊富で、素晴らしいソリューションを開発できる若者たちがたくさんいます。
皆さんが懸念されるとしたら、停電の問題でしょう。ただし、現在は国内のどの事業所も発電機やUPS(Uninterruptible Power Supply 無停電電源装置)などのバックアップ電源を持っています。
インフラもOK、政策面でも皆さんへのサポートの準備はできています。だからぜひバングラデシュに来て、皆さんの目でいろいろなところを見ていただければと思います。2013年現在、バングラデシュはビジネスにおいて世界で一番素晴らしい場所だと自負しています。


VIRGO Cotact Center Service Ltd 常務 アマドゥール・ホック氏
私の会社は、どの分野の産業に共通して存在する業務、例えば会計や給与管理、税務、コンタクトセンター業務などを請け負っています。日本のように人件費が上がり、競争が激化し、しかも労働力が不足しているような国なら、BPOを選択肢に入れた方が良いと思います。
さらに、このBPOはスタートアップにこそ向いています。彼らには資金がありません。だからこそ我々を活用してほしいのです。皆さんは素晴らしいアプリの製作に専念し、私たちはバックオフィスの面から安価で皆さんをサポートします。私たちは、10年後にグーグルにようになれるようなスタートアップを支援したいですね!

 

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バングラデシュという国の名前を聞いて私たちが真っ先に思い出すのが、山口絵理子さんというです。山口さんは20代前半で、バングラデシュのジュートと皮革で高級バッグを作る試みを現地で始め、数々の困難に遭いながらも「マザーハウス」というブランドを立ち上げました。

☆山口絵理子さん x My Eyes Tokyo(2008年)
Part 1 Part 2 

バングラデシュという国が、日本を含めた諸外国からフロンティアとして熱い視線を受け始めたのは、ここ数年という印象があります。山口さんが初めてバングラデシュに渡ったのが2004年。その当時のエピソードと、今回のお2人のプレゼンの内容には隔世の感がありました。

わずか10年足らずで”の最貧国”から”アジアの希望の星”へと姿を変えたバングラデシュ。この先も目が離せません!

 

関連リンク

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DataSoft Systems Bangladesh Ltd *英語
BASIS(Bangladesh Association of Software & Information Services) *英語
VIRGO Cotact Center Service Ltd *英語
BACCO(Bangladesh Association of Call Center & Outsourcing)*英語

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