閻宜菲さん(中国)

インタビュー&構成:徳橋功
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Yan Yifei
板前(2008年9月来日)

 

の文化をここまで学べた女性は、日本に何人いるでしょうか。

 

My Eyes Tokyoのラジオをお聴きいただいた方は、何度かこのお店の名前を耳にしたことがあるかもしれません。

なでしこ寿司」。その名の通り、女性が板前としてお寿司を握り、お客さんはカウンター越しに板前さんとの会話を楽しみながら、おいしいお寿司に舌鼓を打つ。そのようなお店が、萌え文化の聖地・秋葉原に開店したのは2010年10月でした。

私たちはひょんなことから、開店から1ヶ月後の2010年11月1日に行われた「なでしこ寿司教室」を手伝うことになりました。そこで初めてこのお寿司屋さんの存在を知ると同時に、今回のインタビュー相手、閻宜菲(えん・ぎひ)さんと出会いました。のお客さんとで会話をしていた彼女を見て、私たちは「英語の上手いスタッフさんだな」と思いました。なぜなら他のスタッフさんとは普通に日本語で会話していたからです。

でも、後で聞きました。「彼女、中国人ですよ」

それを知ったときの驚きと言ったら・・・その衝撃が忘れられず、過去に私たちの番組にもご出演いただきました。ただ、それ以降の約1年ほど連絡が取れない日々が続きましたが、すごくラッキーなことに、中国帰国を翌週に控えたギリギリの日程で、閻さんに改めてお話をお聞きすることができました。

中国からやってきた、アキバLOVEなお寿司女子の、日本での最後(?)の肉声を、ぜひお聞きください!

*インタビュー@なでしこ寿司(秋葉原)
*英語版はこちらから!

 

筋金入りのヲタク

私はアキバが大好きです。仕事場もアキバですし、お休みの日もアキバに来るから、アキバに住み込んでいる感じです。もう「アキバの住人」と言っても良いくらいですね(笑)

秋葉原は男子比率が高いから、私の友人も男が多い。女の子のヲタク友達もいるにはいますが、みんな池袋に目が向いているんです。池袋には秋葉原の女性版の「乙女ロード」というところがあって、女性に人気の”執事”などがありますから。

中国でも秋葉原は有名で、当時アニメ好きのゲーマーだった私は「あー、ヲタクの天国だなー♪」と、話を聞いて思いました。だから私はもう、全然ヲタクです(笑)今はどちらかと言うとゲームヲタクかな。実はここに来る前も「秋葉原集会所」で”モンスターハンター”をしていていたくらいです(笑)。

私は小中学生の頃から、日本のアニメやマンガを楽しんでいました。一番昔の記憶で言えば『聖闘士星矢』ですね。当時からたくさんの日本のアニメが放送されていました。他にも『ドラゴンボール』や『スラムダンク』が人気でしたし、『ドラえもん』は今でも中国の子どもたちには人気です。だから日本にいるのとそれほど変わりない環境だったかもしれません。


時事通信もしました!閻さんの姿も見えます。

 

日本語教師養成クラスへ

日本に来る前、私は中国・河南省の大学に行っていました。そこで日本語を教えていた先生とすごく仲良くなりました。私より2つ上くらいの若い女性の先生で、日常会話を主に教えていました。専攻は国際貿易でしたが、それがきっかけで、日本語を勉強しようと思い始めました。元々私は外国語が好きで、大学時代は今よりも英語が上手だったと思いますし(笑)

大学を卒業した後は日系で働きたいと思いました。そしたら母が「それなら日本に留学すれば?」と言いました。私はすかさず「行く!」と答えました(笑)それから1年ほど独学で勉強して、日本語能力検定2級を受けました。

日本での留学先は「日本外国語専門学校」というところでした。日本語を勉強するというよりは、外国人向けの日本語教師になるための勉強をする場所でした。でもウチのクラスのほとんどが日本人です。卒業したらほとんどが日本語学校に入って日本語の先生になる。そんな学校でした。

 

「お寿司を握って下さい」

この「なでしこ寿司」で働き始める直前は、秋葉原のツアーガイドとして働いていました。「なでしこ寿司」の代表と、秋葉原ツアーの運営者が知り合いなので、それでこちらを紹介されました。そのツアー運営者の方とは、2010年の東京国際アニメフェアで出会ったんですけどね(笑)ある日その運営者の方に「お寿司に興味はありますか?」と聞かれて「はい」って言ったら、なでしこ寿司のことを説明されて「是非やってみたいです!」って答えました。

面接では、なでしこ寿司の代表から「ゆくゆくはお寿司を握って下さいね」と言われました。それは、私が中国に帰国したときに、中国にお寿司の文化を伝えてほしいという思いがあったからだそうです。それから1年半が経ち、私はなでしこ寿司で2番目に古いスタッフになりました。秋葉原には土日にたくさん人が来るから、私も週末にシフトに入るよう頼まれるんです。だって、私がお客様と一番話が通じるスタッフですから(笑)


閻さん卒業式@なでしこ寿司(2012年4月14日)

 

中国で日本語教師を目指す

私は4月15日に帰国しますが(*インタビューは4月8日)それから先は何も決まっていません。日本語教師の仕事をメインに考えていますが、正直言って私の地元には日本語教師の需要がそれほどありません。中国内陸部では、どちらかと言うとが留学先として人気です。日系企業も少ないですから、日本留学先としてそこまで人気ではないです。だから私は、地元では珍しいですね(笑)

逆に上海では、日本留学は人気です。だから私は、これから上海に行きます。企業に入るか、日本語教師になるかは、まだ決めていません。でも私がやりたいと思うのは、先生の仕事ですね。

私の日本語レベルは、中国では相当上の方になるでしょう。だから競争に有利だと思いますが、日本にいると周りのネイティブスピーカーが競争相手になります。だから私が学校を卒業して日本にある日本語学校に入っても、高い学費を払う生徒さんからは「日本語のネイティブから日本語を勉強したいのに、何で先生が中国人なの?」って思うでしょう。だからどんなに頑張っても、日本だと日本語学校のスタッフまでだと思います。

 

上海に出店?

この「なでしこ寿司」では1年半働いてきました。ものすごく楽しい日々でした。お寿司の文化をここまで学べた女性は、日本に何人いるでしょうか・・・代表には本当にお礼を言いたいです。

私はお寿司屋さんに行くと必ず、板前さんの手元をジーッと見ました。熟練の板前さんだと、片手でシャリを取るときのお米の粒の数が、何回やっても変わらないそうですが、私もその自信がありますよ。

だから、代表から言われました。「なでしこ寿司の上海店を出さないか」と。具体的な話までにはなっていませんけどね。

日本には、未練はたくさんあります。だから、理想なのは”拠点が中国なんだけど、日本にたくさん出張に来れる仕事”でしょうか(笑)



with 美人板前軍団@なでしこ寿司

 

閻さんにとって、秋葉原って何ですか?

天国です!

アキバは2次元です。現実ではありません(笑)つまり、2次元だから天国なんです。

 

閻さんにとって、東京って何ですか?

天国と地獄の間にある街です!

 

閻さん関連リンク

なでしこ寿司:http://www.nadeshico-sushi.com/

 

My Eyes Tokyo

Interviews with international people featured on our radio show on ChuoFM 84.0 & website. Useful information for everyday life in Tokyo. 外国人にとって役立つ情報の提供&外国人とのインタビュー

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