趙燕湄さん(香港)

インタビュー&構成:徳橋功
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Chiu Yin Mei
出張シェフ/飲食関係PRコンサルタント

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日本の至るところに
たくさんの宝物が眠っています。

 

 

 

7月1日 – この日、香港は中国返還記念日を迎えました。そこで私たちは、香港で活躍する飲食関係PR兼出張シェフをご紹介します。ご自身の仕事を通じて、香港と日本を食でつないでいる趙燕湄さんです。

趙さんに出会ったのは、私たちが以前インタビューさせていただいた“10億人に日本を売り込むPR女子”こと小松崎友子さんからのご紹介でした。今年(2016年)2月に東京駅近くで趙さんに出会った私たちは、彼女が日本各地の食材を、多くの時間を費やしながら、情熱をもって香港に伝えてきたことを知り、私たちは趙さんに、次回来日時でのインタビューを申し込みました。

そして数ヶ月後、東京で再会。このインタビューを通じて、私たちはどのようにして、趙さんが地元相手の仕事から飛び出して日本へと自らの事業を広げていったのか、何が彼女を日本人との仕事に導いたのか、なぜ何度も日本を訪れるようになったのかなどについてお聞きしました。

*インタビュー@代官山(渋谷区)
英語版はこちらから

写真提供:趙燕湄さん

 

日本には宝がいっぱい!

私はこれまで、日本の商品の香港でのマーケティング活動を幅広く行ってきました。例えば、紫蘇。これは愛知県の特産品で、生産量は日本一です。香港人にとっては珍しくて魅惑的、ゆえに値段が付けられないほど高価なものだと考えられています。私たちが香港の人々に「日本では紫蘇の葉の先端のみ使い、残りは処分されます」と伝えるわけですが、だから高価になってしまう。そこで私たちは香港の小売店に提案するのです。「2種類の値段を付けてみてはいかがですか?」と。つまり葉の先端は高価ですが、残りの部分はもう少し安い、という感じです。これはあくまで一例にすぎませんが、このようにして私はアドバイスをしながら、香港に日本の各地方の特産品を紹介しています。

私は出張シェフとして活動しながら、マーケティングやPR、イベント運営のコンサルティングを行っています。私は日本の飲食から台所用品、家庭用品、食器類に至る品々を香港に紹介してきました。

私たち香港人は、すでに北海道の食材について知っています。熊本県のゆるキャラである「くまもん」や、福岡の食材、沖縄の食材、神戸牛についても同様です。しかし私たちがまだまだ知らないたくさんの宝物が日本にあります。例えば、今私が手がけているのが愛知県の農産物のプロモートです。先ほど申し上げた紫蘇を始め、トマトや茄子、すいかなどを香港の人たちに紹介しています。その場合も香港側にアドバイスをしながらプロモーションを仕掛け、食品に携わる人たちを惹きつけるようなイベントを開催します。

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愛知県内にて
2016年4月

2014年にこの活動を始めて以来、私は多くの日本企業を訪問してきました。様々な分野の企業とミーティングを行い、投資家やマーケティング担当、それから農家や一般消費者ともお話ししてきました。おかげさまで、私のビジネスが拡大・発展すると共に、私は日本の企業や団体とのより広いネットワークを構築させていただいています。

 

香港飲食界の“顔”に

出張シェフという仕事以外、私は飲食のマーケティングやイベント運営に深く携わっています。宿泊業や飲食業などのサービス業に強いコネクションを持ち、同時に一般消費者とも繋がっています。飲食業界のトレンドと、消費者が求めているものの両方を知っている。これが私の強みです。

私が独立したのは2012年です。最初は出張シェフやフードアドバイザーとして食の世界に入りました。しかし私のお客様は、私のシェフとしての活動により興味を持ちました。4年前はそれほど多くの女性シェフはいませんでしたし、その上私はドイツ語を学ぶために10年間スイスにいたことがあり、それくらい長期間海外に滞在した経験を持つシェフはほとんどいませんでした。だから注目されたのです。

一方で当時、私はポーランドやイタリア、スペインといった国々の食ともつながっていました。それは私がシェフであるがゆえに、その国々の各地の食材が必要だったからです。だからそれらの国を訪問した時は、各地の食材について学ぶことを怠りませんでした。そのような経験があるので、香港の企業やメディアがそれらの食材の活かし方について私にアドバイスを求めてきました。私がテレビ番組や雑誌で紹介した食材が、たちまちヒットするという現象が起きるようになり、こうして私はブランディング・アンバサダーおよびアドバイザーとしての道を歩み始めました。


フードスタイリングという仕事について、中国トップのテレビ局からインタビューを受ける(広東語)
2015年9月

 

国内外での経験、全部乗せ

飲食に関わる前、私はグラフィックデザイナーとして企業のロゴや名刺など、ブランド作りの仕事をしていました。その後スイスに渡り、10年間滞在しました。

スイスにいた頃、私のドイツ語クラスの友達や地元の人たちと、ほぼ毎週末に定期的に集まっていました。様々な国からきた人たちが持ち寄った、各国のお料理を楽しみながら食べ物の話で盛り上がり、それぞれの食文化を学び合いました。私が飲食に携わり、飲食の仕事が好きになった、そのルーツとなる体験でした。

スイスでの学校を卒業し、私は香港に戻って様々な企業で働きました。そして営業やマーケティング、PR、グラフィックデザイン、飲食関係など、様々な分野で経験を積みました。中でもデザインが好きですね。プロモーション活動や、お客さんの注意を促してそのプロモーションに惹きつけるための美的センスを磨くことができますから。

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フードスタイリストとしてパナソニックの炊飯器のコマーシャル撮影に参加。
2016年1月

 

日本との出会い

2014年夏、私は香港で行われたフードエキスポにご招待いただきました。会場で私は「パーティー・クイーン – たった一人で何百人もの人たちに料理をふるまうためにどんな準備をするべきか」というテーマでデモンストレーションやお話をしてほしいという依頼を受けました。

デモの後、JETRO(日本貿易振興機構)の方々が私にご挨拶にいらっしゃいました。それから私は彼らと密に連絡を取り合い、香港で行われるJETROのセミナーやイベントに参加させていただきました。私はそのような場で、日本企業や自治体の方々とつながりました。やがてJETROが私に「日本の食材を使った中華料理や、日本酒に合う中華料理のデモンストレーションをお願いできませんか?」とお願いされました。こうして私は、日本の飲食業界と関わるようになりました。

数ある日本の商品や製品の中から、特に飲食を選んだのは、香港人は日本の食材が大好きだからです。例えば大根。私たちは香港産ではなく日本産のものを買うんですよ!それにたくさんの人が日本に旅行に行っており、その数は毎年増加しています。金曜の夜に香港を発ち、東京で贅沢なディナーを楽しんで日曜の夜に香港に戻るような、短期間の旅行が好まれています。

 

超絶なのに誰も知らない

これまでに日本各地を訪れてきました。中でも私にとって思い出深いのは福井県です。福井といえば越前蟹ですが、それ以外にも和紙や食器用ステンレスなど、まだまだ知られていないものがたくさんあります。ドイツの台所用品メーカーが福井に来てステンレスを調達するほどです。他にも海外に輸出している傘メーカーもあり、フランスのパフォーマーがパリでその会社の傘を入手し、彼らのショーで使っています。

私は地方にある小さなお店や市場に行ったり、地元の人たちとお話しするのが好きです。彼らの文化や習慣を学ぶことに、喜びを感じます。日本の至るところに、本当にたくさんの宝物が眠っているのです。


趙さんが福井県の食材を使ったお料理で地元の人たちをおもてなし。香港にある彼女のオフィスの開業パーティーに集まった人たちと、日本で再会した。
2016年2月

 

ビジネスの翼を世界へ

私の会社は「food allee Gallery」(フード・アリー・ギャラリー)と言いますが、現段階では従業員わずか5人の小所帯です。でも私たちのクライアントは香港でも指折りの企業や団体が名を連ねています。私たちの事業は食に留まらず、サービス業や旅行業にまで及んでいます。つまり食に関係する全ての分野の人たちが私たちのところにいらっしゃり、私たちも食と関係する全てのことに関わらせていただいています。イベントやセミナーに参加して懸命にネットワークを築いたり、海外に行って香港との文化の違いや現地マーケットの最新情報を学んだ、その結果だと思っています。

私はfood allee Galleryをプロモーションセンターにしたいと思っています。「もし皆さんが香港や日本の食の最新情報をお知りになりたいなら、ぜひ私たちのオフィスに来て!」そう言えるようになりたいですね。

今、私たちは東京にも拠点を持つことを計画中です。「もし海外から来た人たちが日本の食品市場について知りたいなら、私たちのオフィスにお越しください」と言えるようになる、それが直近の目標ですね。2年以内には実現したいと思っています。

私の究極の目標は、food allee Galleryを世界中の人たちに知っていただくこと。世界中に拠点を置けるように頑張ります!

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香港日本総領事公邸にて
2015年8月

 

趙さんにとって、日本って何ですか?

とてもすっきりとした、整然とした国だと思います。

電車は時間通りに来るし、丁寧で細部にこだわる人が多いですよね。私はそういうところが好きなんです。なぜなら私の仕事のスタイルと同じだから。それに日本でのお食事の盛り付け方、お店、ファッション、広告など、全てが洗練されており、きっと日本人の持つ性格のなせる技なのだと思います。

また、日本はどこに行っても綺麗ですね。それは各地の自治体だけでなく、そこに住む人たちの努力の賜物だと思います。

香港の人たちの中で、日本が清潔で秩序ある、きちんとしたマナーを持つ近代的な国であることに異論を挟む人はいないでしょう。しかもアイデアとイノベーションに満ちています。それは日本のビジネスにおいても同様です。私たちは日本の人たちから多くを学びました。そんな私は、この国が大好きです。本当に素晴らしいと思います!

 

趙さん関連リンク

food allee: www.facebook.com/foodallee/
food allee HOME: www.facebook.com/foodalleeHOME/ 
food allee Gallery: Click!

 

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