東京から神戸を発信!「東京神戸プレス会」第1回ミーティング

取材&構成:徳橋功
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2年以上続いているコロナ禍のなか”発日本&世界”を試みてきた神戸市。私たちMy Eyes Tokyoも、大変微力ながらそのお手伝いをさせていただきました。

そして日本がからの客への扉を大きく開けようとしていた2022年10月初旬、より高頻度での全国発信を目指し、神戸市の先進的な取り組みや街の”旬”なスポットをに直接伝えたり、市とメディアおよびメディア間でのネットワーキングを行ったりする場を、日本を代表する繁華街・銀座で「東京神戸プレス会」としてスタートしました。


写真提供:神戸市

第1回の主なトピックは「脱炭素」と「里山」。海と山に囲まれた神戸市ならではのへの取り組みについて紹介されました。

 

世界初!水素エネルギーサプライチェーンの構築

利用時に二酸化炭素を排出しないエネルギーとして、現在世界的に注目を集めている水素エネルギー。石油などの化石燃料を燃やして水素を取り出すだけでなく、太陽光発電などのエネルギーで電気を作り、その電気で水を分解し水素を取り出すという方法があります。前者がエネルギー製造の過程で二酸化炭素を排出するのに対し、後者は二酸化炭素を出さない完全な”カーボンニュートラル”です。

このうち神戸市では、オーストラリアで採掘される褐炭(品質の低い石炭)を燃やし水素エネルギーを製造。化石燃料を使うので製造過程で二酸化炭素が発生しますが、それらを地中深くに埋めることで大気中への二酸化炭素排出を防ぎます。

こうしてオーストラリアで作られた水素を、マイナス253度まで冷やして液体化し、体積を大幅に圧縮。昨年(2021年)12月に神戸港からオーストラリアに出航した、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、今年1月現地に到着。液化した水素を積み込み、2月下旬に神戸港に帰港しました。9,000キロ以上に及ぶ長距離にわたり大量の水素を運搬し航行したのは世界初とのことです。


すいそ ふろんてぃあ
※神戸市資料より

そして神戸に運ばれた水素を燃やして電気を作り、ポートアド内の公共施設に供給。これも世界初の挑戦であり、2014年の構想段階から約8年の年月を経て成功へと結実しました。

今後、電力が火力発電に用いるエネルギーとして、現在の天然ガスに水素を合わせて燃やす“混焼”を行う方針を立てていますが、水素エネルギーを活用した発電および供給は、それに向けたパイロット事業に位置づけられています。

神戸市の脱炭素に向けた取り組みとして、これ以外にも「神戸空港島および淡水域でのブルーカーボン(海藻や海草などが光合成の過程で取り込んだ二酸化炭素)評価」「カーボンニュートラル(二酸化炭素を排出しない)ポート」が紹介されました。

 

里山の維持

なだらかな山々を背景に市街地が広がる神戸市。丘陵のさらに奥には、田んぼや畑、森林など人々が生活しながら作り上げた自然環境である”里山”が広がっています。その付近に約800戸、日本の市町村で最多の茅葺屋根の民家が残る神戸市の里山ですが、一方で荒れた森林や竹林、放棄された耕作地が点在しています。

そこで神戸市は学生たちを雇用し、それらの手入れや調査に着手。特に放置された森林は、人の手が入る前の原始林の状態に戻り、生物多様性が低下していましたが、整備をすることで森林が”若返り”ました。


※神戸市資料より

このほか神戸の自然環境の整備については「外来生物対策」「肥料の原料となる”リン”回収」が紹介されました。

 

今”古墳”が熱い!

この後、少し柔らかめのトピックとして、六甲山や神戸ポートミュージアムなど神戸市内のお勧めスポットが紹介されました。

中でも熱を込めて語られたのが、神戸市垂水区にある”五色塚古墳”。明石海峡や淡路島を臨む絶景スポットとして、また若いたちの間でパワースポットとして知られる前方後円墳です。


※神戸市資料より

この古墳は1960年代から70年代にかけて、日本で最初の復元されたもの。実際に作られたのは4世紀後半頃と推定されていますが、今回のプレス会では「誰が埋葬されているのか」が焦点となりました。

神戸市広報官・多名部重則氏のご説明によれば、4世紀後半は、ヤマト王権が奈良盆地に誕生し、日本の骨格が形成されようとしていた時代。各地の豪族が王権との関係を示すために作ったのが前方後円墳であり、王権と近しい者たちが競って造っていきました。その当時、五色塚古墳は日本で第5位の規模。それより大きい古墳は奈良市にある佐紀盾列(さきたたなみ)古墳群にある4古墳であり、それらは全て大王(天皇)陵です。

なぜ、奈良市から遠く離れた垂水に、1つだけ大古墳が存在するのか?しかも形状は佐紀盾列古墳群のものと相似形を成す・・・

恐らく埋葬されているのは、ヤマト王権と密接な関係を結んでいた、垂水周辺を支配していた豪族であり、王権が建設者に設計図を渡し、技術者まで現地に派遣したと考えられるとのこと。古墳を覆う葺石は全て淡路島のものが使われており、当時すでに明石海峡を自由に往来できるほどの技術を持っていたために王権が重宝した重要人物ではないか。一方で五色塚は古墳群ではない、たった1つの古墳なので、一代限りで途絶えた豪族ではないか・・・そう多名部氏は推測します。

このようなミステリアスな歴史を持つ五色塚古墳を舞台に、あるアニメが作られました。SFアニメ『ワンダリズム きみを呼ぶ声』です。

 

会場を出る際、神戸市よりお土産をいただきました。神戸市にある茅葺の民家に使われる藁で作る豆箒キット、須磨の名産である海苔、神戸港の絵柄をあしらった泉州タオルです。

ありがとうございました!次回の東京神戸プレス会も楽しみにしています。

 

関連リンク

神戸市HP:city.kobe.lg.jp/
神戸市広報紙 KOBE ONLINE:kouhoushi.city.kobe.lg.jp/
ワンダリズム きみを呼ぶ声 公式HP:wonderism-kobeproject.com/

 

My Eyes Tokyo

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